
少子高齢化が進む日本において、留学生の採用は優秀な若手人材を確保する有効な手段として、大企業から中小企業まで注目を集めています。しかし、「在留資格の手続きが難しそう」「文化の違いによるトラブルが心配」といった懸念から、留学生採用に踏み切れていない企業も少なくありません。
この記事は、留学生採用のメリットや注意点、手順を網羅的に解説します。留学生が持つポテンシャルを最大限に引き出し、企業のグローバル化を成功させるための具体的な方法と注意点を深く掘り下げて解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。


留学生を採用する5つのメリット
留学生の採用は、単なる人手不足の解消策にとどまらず、企業が国際競争力を高め、持続的な成長を遂げるための重要な戦略的投資です。このセクションでは、留学生を採用することで企業が得られる具体的なメリットについて詳しく解説します。
1.優秀かつ意欲の高い人材を確保できる
留学生は、難易度の高い日本語能力を業務レベルまで習得して、異国での就職という困難な道を選んだ意欲と能力の高い人材です。日本の大学や専門学校で学び、日本の生活環境やルールに慣れているため、入社後の教育や適応にかかるコストを抑えやすいという特徴があります。
日本語でのコミュニケーション能力と専門分野の知識を兼ね備えた人材は、日本人学生の採用市場では得難い貴重な戦力となります。このように、国籍にとらわれず優秀な人材を確保できる点がメリットです。
2.海外進出やグローバルビジネスの即戦力となる
留学生は、日本語に加えて母国語を話せるため、語学力を活かした業務で即戦力として活躍できます。海外の顧客との商談やカスタマーサポート、翻訳業務、海外向けのマーケティングなど、グローバルなビジネス展開をスムーズに進めるための多言語対応を社内で強化できる点が特徴です。
また、母国の市場や文化に関する深い知識を持っているため、海外進出の際の市場調査や戦略立案において、日本人社員だけでは気づけない新しい視点やアイデアを提供してくれる点も期待できます。
3.多様な視点による組織の活性化とイノベーションの創出
異なる文化的背景を持つ留学生が組織に加わるため、社内に新しい価値観や発想がもたらされ、組織の多様性(ダイバーシティ)が高まります。彼らが持つ異文化の仕事観や積極的な改善・提案を行う姿勢は、既存の日本人社員にとって刺激となり、社内の活性化を促します。
また、多様な視点が組み合わされば、今までになかった新しいアイデアやイノベーションが生まれやすいです。このため、日本のマーケットだけでなく、グローバルな課題解決にもつながる新しい事業の創出に貢献できます。
4.日本の生活環境やビジネスルールに順応している
留学生は、留学生活を通じて日本の生活環境や社会のルール、ビジネスマナーの基礎を学んでいます。このため、海外から直接採用する外国人材と比較して、入社後に生活や仕事に適応するまでの時間やフォローの工数を大幅に削減できる点がメリットです。
具体的には、ゴミの分別などの生活インフラの利用方法や、企業文化における報連相の重要性などがあげられます。日本人にとっては当たり前でも、外国人にとっては戸惑いやすい点について、経験にもとづいた理解があると、採用企業は安心して採用できます。
5.助成金や支援制度を活用できる
外国人採用を支援するための助成金や補助金、税制優遇措置などが、国や地方自治体、産業団体から提供されている場合があります。これらの制度を活用すれば、採用コストの削減や、外国人の日本での生活サポートや日本語教育プログラムの費用を軽減できます。
しかし、助成金には支給要件や申請期間が厳格に定められているため、採用活動を開始する前に、厚生労働省や各自治体の公式サイトなどで最新の情報を確認して、計画的に活用しましょう。
なお、外国人雇用で利用できる助成金については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
関連記事:【2025年最新】外国人雇用で利用できる助成金は5つ|よくある質問もご紹介!

留学生を採用する際に確認すべき4つの注意点
留学生採用は多くのメリットをもたらしますが、外国人を雇用する際に特有の注意点も存在します。ここでは、留学生を採用する際に企業が確認すべき注意点を解説します。
1.在留資格の変更許可申請
留学生が日本で就労するためには、現在の「留学」という在留資格から、「技術・人文知識・国際業務」などの就労可能な在留資格への変更許可申請が必要です。この手続きは原則として本人が行いますが、不許可になるリスクを避けるためにも、企業が行政書士に依頼してサポートしてもらいましょう。
就労する職種が、留学生が卒業した大学や専門学校での専攻と関連性があるかなど、入管法の要件を満たしているかの事前の確認が欠かせません。
なお、就労ビザの取得方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:就労ビザの取得方法とは?取得に必要な書類や審査にかかる期間について詳しく解説します!
2.受け入れ体制の整備
留学生を安定して雇用するためには、日本語の能力や文化の違いを考慮した受け入れ体制の整備が欠かせません。具体的には、業務に必要な日本語の研修や、日本のビジネスマナーに関する研修の実施、外国人社員が抱える生活やキャリアに関する相談を受け付ける窓口の設置などが有効です。
また、一緒に働く日本人社員に対しても、異文化理解を深めるための研修を行い、部署全体で「一緒に働く」という意識の醸成が、定着率の向上につながるポイントです。
3.日本人従業員と同等の待遇の確保
外国人労働者の雇用においては、労働基準法をはじめとする日本の労働関係法令が適用されます。このため、賃金や労働時間などの待遇は、国籍を理由として日本人従業員と差を設けることは禁止されています。
このため、同一労働同一賃金の原則にもとづき、日本人と同等の待遇を確保しなければなりません。外国人だからという理由で不当な労働条件を提示した場合、法律に違反するだけでなく、企業の評判を大きく損なう可能性があるため、公平な人事制度を運用しましょう。
4.資格外活動のアルバイト時間上限に注意が必要
留学生が在学中にアルバイトとして働く場合、「留学」の在留資格に加えて「資格外活動許可」を取得しなければなりません。これにより、週に28時間以内という就労時間の上限が厳格に定められています。
この上限を超えて働かせると不法就労となり、雇用した企業も罰則の対象となる可能性があります。このため、企業はアルバイトの採用時に、資格外活動許可の有無を在留カードで確認するとともに、労働時間の管理を徹底する必要がある点に注意しましょう。
なお、留学生アルバイトの時間制限については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:留学生アルバイトの時間制限とは?企業が守るべきルールをご紹介!

留学生採用を成功させるための具体的な3つのステップ
留学生採用を成功させるためには、入社後の活躍を見据えた計画的な採用プロセスと、入社までの必要な手続きを確実に実行する必要があります。ここでは、留学生採用をスムーズに進めるための具体的なステップについて解説します。
ステップ①採用計画の策定と募集戦略の立案
留学生を採用する目的を明確にして、募集する職種と求められるスキル(日本語能力、専門知識など)を具体化します。募集は、日本人向けの求人サイトだけでなく、外国人向けの就職情報サイトやキャリアフォーラム、大学の就職課などを活用して多角的に行う方法がおすすめです。
また、面接では日本語能力だけでなく、異文化での適応力や日本で働くことへの意欲を見極める質問を用意しておきましょう。
ステップ②在留資格の変更許可申請のサポートと内定通知
採用を決定した場合、内定を通知した後、留学生が就労するために必要な在留資格の変更許可申請の準備を開始します。新卒で採用する場合、申請は卒業前の12月頃から受けつけがはじまるため、内定後すぐに必要書類の収集や作成に着手しましょう。
企業側で用意すべき書類として、雇用契約書や会社の登記事項証明書、決算報告書の写しなどをすみやかに準備して、申請が遅延しないよう留学生をサポートする必要があります。
ステップ③入社後の生活・就労支援の実施
留学生が無事に入社した後も、安定した活躍をサポートするための支援を継続して実施しましょう。引越しや銀行口座の開設、役所での手続きといった生活に関わる事柄は、日本人にとっては簡単でも、外国人にとっては困難な場合が多々あります。
これらの初期の生活立ち上げに関するサポートを手厚く行えば、留学生は早期に仕事へ集中できる環境が整い、企業への定着率の向上にもつながります。

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留学生 採用でよくある3つの質問
留学生 採用でよくある質問をご紹介します。それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
質問1.留学生を採用する際に企業が必ず行うべき手続きは何ですか?
留学生を正社員として採用する際に企業が必ず行うべき手続きは、留学生の就労を可能にするための「在留資格変更許可申請」のサポートです。留学生は「留学」という在留資格で日本に滞在しているため、就労可能な在留資格(技術・人文知識・国際業務など)に変更しなければなりません。
企業は、雇用契約書や会社の概要を示す書類など、申請に必要な書類を迅速に準備して、留学生の申請を支援しましょう。また、入社後には、ハローワークへ「外国人雇用状況届出書」を提出する義務もあります。
質問2.留学生の採用において就労ビザ取得の要件は?
留学生が就労を目的とした在留資格(就労ビザ)を取得するためには、主に学歴と業務内容の関連性が要件となります。まず、原則として日本の大学や専門学校を卒業していなければなりません。
さらに、採用後に従事する業務が、留学中に専攻した学問や技術に関連している必要があります。たとえば、経営学部を卒業した場合は企業のマーケティング職や営業職が該当します。
関連性が低いと判断された場合、不許可となる可能性が高いため、企業は採用時に職務内容と専攻の論理的な結びつきを明確に説明できるようにしておきましょう。
質問3.留学生を採用する際のデメリットやリスクは?
留学生を採用する際のデメリットやリスクとして、在留資格の申請に手間と時間がかかったり、文化・習慣の違いから社内で認識のズレが生じたりする可能性がある点があげられます。
留資格の変更が不許可になった場合、採用ができなくなるリスクがあるため、専門家のサポートを受ける方法がおすすめです。また、入社後に日本人との間で仕事の進め方や価値観の違いからトラブルが発生しないように、社内での異文化理解を深める教育や定期的な面談などのフォロー体制が必要です。

まとめ
留学生の採用は、優秀で意欲の高いグローバル人材を確保して、企業の国際競争力を飛躍的に高める戦略的な手段です。母国語を活かした海外展開の即戦力となるだけでなく、多様な視点が組織に新しい風を吹き込み、イノベーションの創出にもつながります。
また、採用を成功させるためには、在留資格の変更手続きの複雑さや、日本人と同等の待遇を確保するための人事制度の整備といった注意点をクリアにしなければなりません。これらの課題に適切に対処して、留学生が最大限に能力を発揮できる受け入れ体制を構築すれば、企業は持続的な成長を実現できます。
外国人材の採用や入社後の生活支援に不安がある企業は、総合的なサポートを提供する専門サービスの活用も有効な選択肢となります。
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