【2024年最新版】入管法改正をわかりやすく解説!|受入れ企業が注意すべき点もご紹介!

入管法は、1951年10月に公布されました。その後、時代や国際情勢の変化に対応するため、何度も改正されています。しかし、具体的にどのような点が変更されたのか、わからないという採用担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、入管法の概要や改正前に抱えていた主な課題、入管法改正による変更点について解説します。また、外国人雇用にあたって受入れ企業が注意すべき点についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

編集部

入管法とは?

入管法は正式には「出入国管理及び難民認定法」と呼ばれ、1951年に制定された日本の法律です。この法律は、日本に入国または出国するすべての人々の活動を公正に管理し、難民の認定手続きを整えることを目的としています。

具体的には、日本への入国や出国管理、在留資格の確認、不法滞在の防止、そして難民の認定プロセスの規定を含みます。この法律は外国人だけでなく、日本国民も対象です。したがって、外国人の雇用や受け入れに際しては、企業や個人はこの法律を遵守しなければなりません。

入管法改正前に抱えていた主な課題

入管法改正前には、さまざまな課題が存在していました。主な課題については以下のとおりです。

  • 退去が困難な外国人の存在

大部分の外国人は退去が確定するとスムーズに日本を去っていきますが、退去を避けようとする一部の外国人が存在した。これには、繰り返しの難民申請や航空機内での問題行動により物理的に退去できなくなるケースが含まれる

  • 収容施設での長期収容

退去が確定したにもかかわらず、上述の理由により、収容施設での収容期間が長期化する事例が発生していた。この長期収容は、収容される個人にも、施設運営にも多大な負担がかかる

  • 保護制度の不備

難民や保護を必要とする外国人に対する制度が不十分であり、これらの個人が適切な保護を受けられないケースがあった。制度の不備は、国際社会における日本の立場や評価にも影響を与えていたと考えられる

入管法改正による変更点

次に、入管法改正による変更点について解説します。

  • 2019年4月の入管法改正
  • 2021年提出の入管法改正案の取り下げ
  • 2023年6月の入管法改正

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.2019年4月の入管法改正

2019年4月の入管法改正で「特定技能」という新しい在留資格が導入されました。これまでの外国人技能実習制度は、技能の習得という名目で実施されており、本国への技能移転が目的でした。

一方で、特定技能は日本の人手不足の直接的な解消が目的です。特定技能制度は16の産業分野において適用され、より柔軟な基準で外国人労働者の受け入れを可能にしています。

これにより、農業や介護、建設など、労働力不足が深刻な分野に新たな人材が流入することが期待できます。

なお、特定技能の職種については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:【2023年最新版】「特定技能」1号・2号とは?職種16分野の業務内容やよくある質問も徹底解説! – 株式会社 グローバルヒューマニー・テック

改正のポイント

特定技能の導入により、高度な技術や知識を持つ外国人労働者の受け入れが拡大され、よりよい労働条件のもとで働くことが可能になりました。また、この改正法は、留学生や技能実習生の管理においても新たな措置を導入しています。

具体的には、技能実習生の失踪問題に対処するための具体的な取り組みが強化され、留学生の在籍状況に関するチェックもより厳格になりました。これらの変更は、日本で働く外国人の権利保護を強化すると同時に、不正な滞在や労働を防ぐのが目的です。

2.2021年提出の入管法改正案の取り下げ

2021年に提案された入管法改正案は、難民認定のプロセスにおける重要な修正案でした。具体的には、難民申請の回数に制限を設け、3回目以降の申請者が「相当な理由」なく申請した場合、本国への送還が可能となる規定が提案されています。

この改正案が提出された背景は、難民申請の繰り返しにより、本国への送還を避けることへの対応策です。また、「補完的保護」制度の創設により、紛争などから逃れてきたが難民と認められない人々への入国許可が検討されました。

また、送還妨害への罰則新設、入管施設収容の定期的な見直し、外部での生活を支援する監理措置制度の創設も含まれています。しかし、これらの提案はさまざまな反響を呼び、最終的に改正案は取り下げられました。

改正案の問題点

2021年に提出された入管法改正案では、以下の事項が人権上の問題点として挙げられています。

  • 不法滞在者の帰国徹底という方針
  • 難民認定申請が3回以上の場合、強制送還が可能
  • 強制送還を拒む者に対する刑事罰の導入

多くの難民申請者は、帰国によって生命や自由がおびやかされる可能性があるため、この改正案は人権侵害につながると指摘されました。日本の難民認定率の低さと、過去に発生した入管施設での悲劇的な事件が改正案に対する反発を強め、最終的には改正案の取り下げにつながっています。

3.2023年6月の入管法改正

2023年6月の入管法改正は、難民認定手続きの厳格化に焦点を当てたものです。とくに、議論を呼んだのは、難民認定申請を3回行った後の強制送還が可能になる規定です。

日本における難民認定の基準は国際的に見ても厳しく、入管調査官の知識不足や国際基準との乖離が適切な審議を妨げている状況が指摘されています。この改正により、再三申請を行う難民申請者に対する強制送還が容易になり、保護を必要とする人々が危険にさらされるリスクが増大しました。

一方で、改正案では難民認定の適正化を目指し、専門的な知識を持つ職員の育成が盛り込まれた点は前向きな方針です。しかし、出入国管理の機能と保護の理念を同一機関が担うことへの懸念は依然として残り、より効果的な対策が求められています。

改正の懸念事項

大きな懸念を呼んだのは、3回目以降の難民認定申請を行った者に対する強制送還の可能性です。日本の難民認定基準の厳格さと、入管調査官の知識不足や国際基準との乖離が、不適切な難民不認定を生む要因となっています。

このような背景のもと、申請者が繰り返し申請するのもやむを得ない状況であり、新たな規定はこれらの個人を危険に晒す可能性があると懸念されています。

外国人雇用にあたって受入れ企業が注意すべき点

外国人を雇用するにあたって注意すべきポイントは以下のとおりです。

  • 在留資格や労働法に関する正確な知識の習得

外国人労働者の在留資格や適用される労働法規を正しく理解することが必要

  • 安全で健全な労働環境の提供

言語や文化の違いに配慮し、外国人労働者が安心して働ける職場環境を整える必要がある

  • 生活支援体制の構築

外国人労働者が新しい環境に適応できるよう、住居や生活面でのサポートを提供することが望ましい

  • コミュニケーションの確保

言語の壁を超え、労働者との効果的なコミュニケーションを確保する取り組みが重要になる

  • 相談体制の整備

労働者が抱える潜在的な問題や困難に対応できるよう、相談やサポート体制を整える必要がある

これらの点に留意し、外国人労働者との共生を目指した環境作りに努めることが、企業にとって重要です。

「入管法改正をわかりやすく」でよくある5つの質問

最後に、「入管法改正をわかりやすく」でよくある質問を紹介します。

  • 質問1.入管法改正による外国人受け入れの現状は?
  • 質問2.特定技能の創設によるメリット・デメリットは?
  • 質問3.外国人採用を成功させるためには?
  • 質問4.外国人が難民として認められるには?
  • 質問5.これまでの入管法の改正の歴史は?

それぞれについて詳しくみていきましょう。

質問1.入管法改正による外国人受け入れの現状は?

新型コロナウイルスの流行により、新規の外国人労働者の受け入れは大きな影響を受けました。この期間、日本にいる技能実習生のなかから「特定技能」への移行が進み、この資格で働く外国人の数が増加しています。

入国制限の解除と特定技能2号の導入により、今後はより多くの外国人が日本で働く機会を得られるようになる見込みです。また、特別高度人材制度(J-Skip)の導入や留学生の就労を支援する「特定活動46号」の設立など、さまざまなビザの改正が外国人の受け入れを促進しています。

技能実習制度に関しては、その存続について議論があり、「特定技能」とのよりよい連携や外国人が働きやすい環境を整えるための見直しが検討されています。

質問2.特定技能の創設によるメリット・デメリットは?

特定技能の創設によるメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット

  • 労働力不足が深刻な分野での人材確保が可能
  • 外国人労働者が単純労働だけでなく、多様な業務に従事できる
  • 外国人労働者の活用により、企業の生産性が向上する
  • 人口減少が問題の地方においても人手不足の解消が期待される

デメリット

  • 特定技能労働者の転職が可能であるため、企業は人材の定着に課題を抱える
  • 労働者の流動性が高いため、長期的な人材確保が難しくなる可能性がある

質問3.外国人採用を成功させるためには?

外国人採用を成功させるためには、法令遵守と適切な環境の整備が不可欠です。採用プロセスにおいては、以下の点を注意深くチェックしましょう。

  • 採用する外国人の在留資格を確認し、就労が可能な在留資格かどうか検証する
  • 在留資格と業務内容が一致しているかどうかを確かめ、資格外活動には許可が必要かどうかを把握する
  • 入管法の罰則に照らし合わせ、企業としてのリスクを理解し、不法就労の防止に努める

受け入れ企業においては、外国人との共存を見据え、入管法に関する基礎知識を有する専門家との連携を確立しておくのが望ましいです。

質問4.外国人が難民として認められるには?

外国人が日本で難民として認められるには、一定の条件を満たし、適切な手続きを経なければなりません。日本で難民認定を受けるためには、申請者が人種や宗教、国籍、特定の社会的集団への帰属、または政治的意見などを理由に迫害されるおそれがあると認められなければなりません。

これらの条件に該当し、母国での迫害から逃れるために保護を求めている人々が申請の対象です。申請者は入国管理局で難民申請を実施し、その後、入管による詳細な審査が実施されます。

質問5.これまでの入管法の改正の歴史は?

日本の入管法は、国内での外国人の在留管理と難民認定に関する法律です。長年にわたり、国内外の状況変化に対応するため、何度も改正が実施されてきました。2000年以降、とくに目立った改正は以下のとおりです。

  • 2004年

在留資格取消制度や仮滞在許可制度が創設され、不法入国罪などの罰則が強化された

  • 2005年

密入国議定書の締結に伴い、罰則や退去強制事由が整備された

  • 2006年

個人識別情報の提供義務付けや特定活動による外国人受け入れの規定整備が実施された

  • 2009年

在留カードの導入や「技能実習」という新たな在留資格が設けられた

  • 2014年

「高度専門職」という新しい在留資格が創設され、既存の在留資格も見直しが行われた

  • 2016年

「介護」という新たな在留資格が生まれ、偽装滞在者対策としての罰則強化も実施された

  • 2018年

「特定技能1号・特定技能2号」という新しい在留資格が設けられ、外国人労働者の受け入れ枠が広がった

  • 2023年

難民認定手続中の送還停止に関する例外規定が設けられ、より詳細な審査が可能になった

まとめ

本記事では、入管法の概要や改正前に抱えていた主な課題、入管法改正による変更点、外国人雇用にあたって受入れ企業が注意すべき点について解説しました。

入管法(出入国管理及び難民認定法)は1951年に制定されました。この法律は、日本に入国または出国するすべての人々の活動を公正に管理し、難民の認定手続きを整備することを目的としています。

具体的には、入国や出国管理、在留資格の確認、不法滞在の防止、そして難民の認定プロセスの規定が該当します。この法律は、外国人だけでなく、外国人の雇用や受け入れに際して、企業や個人も遵守しなければなりません。

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