【2023年最新版】「特定技能」1号・2号とは?職種12分野の業務内容やよくある質問も徹底解説!

特定技能では12の分野があり、分野によって従事できる職種が決まっています。また、特定技能には1号と2号があり、在留期間や求められる技能水準などの違いがあります。特定技能の受け入れを検討する場合は、これらの違いについて理解しておかなければなりません。

そこで、本記事では、特定技能の概要や特定技能の職種12分野の業務内容について解説しています。また、 特定技能の職種でよくある質問についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

編集部

特定技能とは?

特定技能とは?

引用:特定技能制度とは | 特定技能総合支援サイト | 法務省出入国在留管理庁

特定技能とは2019年4月に導入された新しい在留資格で、人手不足の分野で外国人労働者を雇用することを目的としています。この資格には12の対象分野があり、それぞれ特定の職種に従事が可能です。

当資格の特徴は、単純労働を含む多岐にわたる業務が許可されている点です。在留期間は通算で最大5年とされており、条件次第で在留資格の更新や永住権取得の道が開かれています。また、技能実習から特定技能への移行も認められています。

なお、特定技能については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:【2024年最新版】在留資格「特定技能」とは?制度の概要や採用方法、注意点をわかりやすく解説!

特定技能1号

特定技能1号

引用:特定技能制度とは | 特定技能総合支援サイト | 法務省出入国在留管理庁

特定技能1号は、特定の産業分野で必要とされる技能レベルを持つ外国人が日本で働くための在留資格です。この資格では、12の指定された業種での就労が可能で、各業種で必要とされる技能を評価するための試験が設けられています。

特定技能1号を取得すると、在留期間は通算で最大5年までその技能に基づいた業務に従事が可能です。この資格を通じて、日本の産業分野における人手不足を補い、国際的な労働力の流動化に寄与しています。

特定技能2号

特定技能2号

引用:特定技能制度とは | 特定技能総合支援サイト | 法務省出入国在留管理庁

特定技能2号は、特定産業分野において熟練した技能を持つ外国人労働者を対象とする在留資格です。これは主に特定技能1号の修了者が進む次のステージとして設けられています。

特定技能2号の在留期間は3年、1年、または6ヶ月ごとに更新され、上限は設定されていません。また、一定の要件を満たす場合、配偶者や子供を含む家族の帯同が認められます。これにより、外国人労働者は日本での長期的なキャリア形成と生活を実現することが可能です。

参考:特定技能 ガイドブック

特定技能2号は対象分野が拡大

従来の特定技能2号は建設分野と造船・舶用工業分野に限られていましたが、2023年6月には以下の9つの分野が追加されました。

  • ビルクリーニング業
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年に統合)
  • 自動車整備業
  • 航空業
  • 宿泊業
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

ただし、介護分野は特定技能2号の対象外であり、代わりに在留資格「介護」が設けられています。介護の在留資格を取得した外国人は、特定技能制度とは異なり、5年、3年、1年、または3カ月ごとに更新することで永続的に日本で就労が可能です。

特定技能の職種12分野の業務内容

次に、特定技能の職種12分野の業務内容について解説します。それぞれについて詳しくみていきましょう。

参考:「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和5年10月末現在)|厚生労働省

1.介護

2023年10月末の時点で、全国で66,660名の外国人がこの資格で介護業務に従事しています。試験は日本国内以外にも、フィリピンなど海外でも実施されています。

ただし、訪問系サービスの提供は認められていません。新型コロナウイルスの影響で、海外で合格した人材の入国に遅れが生じていました。

現在、制限は緩和されているため、介護分野の人材受け入れはさらに進むことが期待されます。なお、特定技能のなかで「介護」は特定技能2号で設定されていない唯一の分野です。

2.外食業

外食業は、料理店や食堂、喫茶店、ファーストフード店、宅配専門店、仕出し料理店などでの飲食物の調理、接客業務、店舗管理が対象です。2023年11月末の時点で、この分野での外国人労働者数は3,267人でした。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、外食業界全体が厳しい状況にあり、それが労働者の受け入れ数にも影響を及ぼしました。しかし、状況の改善に伴い、今後は外国人労働者の受け入れ数の増加が期待されています。

3.ビルクリーニング業

ビルクリーニング業は、建物内部の清掃業務を担い、さまざまな建物や汚れに対応した適切な清掃方法や洗剤に関する知識が求められます。

また、ビルクリーニングの関連業務には、ベッドメイクを含む客室整備作業や資機材倉庫の整備作業が該当しているため、これらの業務に従事してもらうことも可能です。

なお、ビルクリーニングでの労働者は、2023年11月末時点で3,353人となっており、国内労働力の補充に貢献しています。

4.宿泊業

宿泊業は、ホテルや旅館などの宿泊施設において、フロント業務や接客サービス、企画・広報活動、レストランでのサービスに従事します。さらに、宿泊施設内での掃除、配膳、ベッドメイキング、売店での販売などの関連業務にも従事が可能です。

ただし、これらの関連業務はメイン業務では無く、補助的な役割に限定されているため、メイン業務として従事できない点に注意が必要です。

宿泊業では、2023年11月末の時点で、特定技能労働者の数は395人に達しており、外国人労働者の力が日本の宿泊業界のサービス向上に貢献しています。

5.建設業

建設業の特定技能分野では、建築大工、内装作業、左官など多岐にわたる職種があります。2022年4月には岐阜県の中国籍男性が特定技能2号に認定され、技能検定1級の取得や建設キャリアアップシステムでのシルバー判定、現場責任者経験などが評価されました。

この分野で働く特定技能外国人は、2023年11月末時点で23,329人に達し、特に「建設機械施工」や「鉄筋施工」の分野での活躍が目立ちます。試験は日本とフィリピン、ベトナムで実施されており、今後は更に実施国・地域が拡大すると予想されます。

6.飲料製品製造業

飲食料品製造業では、酒類を除く畜産食料品、冷凍食品、パン、清涼飲料水などの製造や加工業務への従事が可能です。受け入れ企業は、「食料品製造業」や「清涼飲料製造業」などの日本標準産業分類に該当しなければなりません。

2022年10月末時点で、この分野で働く外国人労働者の数は59,262人に上り、特定技能で受け入れられる外国人労働者のなかで最も多い分野となっています。

この動きは、日本の食品製造業界における労働力不足の解消に大きく貢献しており、産業の持続可能な発展を支えています。

7.造船・舶用工業

造船・舶用工業分野では、船舶の製造に関連するさまざまな工程において外国人労働者の受け入れが可能です。この分野で特に需要が高いのは「溶接」の技能で、2023年11月末の時点で総労働者数は2,526人に達しています。

また、特定技能1号から2号への移行も認められており、労働者の技能向上とキャリアアップが可能です。国内での最初の特定技能1号試験(溶接)は2020年12月に実施され、集合形式での試験が行われました。

これにより、日本の造船・舶用工業分野の人材不足を緩和し、産業の持続可能な成長を支援しています。

8.農業

特定技能の農業分野においては、耕種農業や畜産農業の作物の栽培管理、農産物の選別、集出荷などが主な業務です。畜産農業では、動物の飼養管理や畜産物の選別、集出荷が中心となります。

また、農畜産物を使用した製造や加工、運搬、陳列、販売作業、冬季の除雪作業などの関連業務も含まれます。2023年11月末時点での農業分野での外国人労働者数は23,265人に上り、日本の農業分野における人手不足の緩和に大きく貢献しています。

なお、特定技能の農業分野に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【最新版】特定技能「農業」とは?制度の特徴や対応できる業務、採用方法をわかりやすく解説!

9.自動車整備業

特定技能の「自動車整備業」分野では、外国人労働者が日常点検整備、定期点検整備、分解整備などに従事します。自動車の組み立て作業は製造業系に分類されるため、この分野には含まれません。

2023年11月末時点で、自動車整備業には2,468人の特定技能外国人が受け入れられています。業務遂行に必要な技能及び日本語能力を評価するため、「自動車整備分野特定技能評価試験」と「自動車整備士技能検定試験3級」の2種類からの選択が可能です。

10.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業は、2022年に統合され、日本経済にとって欠かせない重要な産業です。これらの分野は、金属やプラスチックなどの素形材の加工、産業用機械の製造、電子機器の機械加工や組み立てといった幅広い業務を含んでおり、需要が高い一方で、深刻な人手不足が続いています。

2022年10月末の時点で、これらの分野で働く特定技能の外国人労働者数は15,613人に上ります。この労働力の供給は、日本の製造業界における人材不足の問題を緩和し、産業の持続可能な成長を支える重要な役割を担っています。

11.航空業

航空業は、空港グランドハンドリングと航空機整備の2つの区分において外国人労働者が活躍しています。空港グランドハンドリングでは、航空機の誘導、移動、貨物の搭降載などの業務が実施されます。

航空機整備では、定期的なメンテナンスや修理が主な担当です。2023年11月末時点で、この分野に受け入れられた特定技能外国人は595人で、特定技能評価試験の実施回数はほかの分野に比べて比較的少なくなっています。

12.漁業

漁業分野では、「漁業」と「養殖業」という2つの業務区分が設けられています。漁業部門では、水産動植物の探索・採捕、漁獲物の処理・保蔵、漁具や漁労機械の操作などが主な業務内容です。

一方、養殖業部門では、水産動植物の育成管理、収穫、資材の制作や補修、管理などが重要な役割を担います。

2022年10月末時点で、この分野で働く特定技能外国人労働者の数は2,632人です。日本の漁業・養殖業において外国人労働者の存在は、労働力不足の解消と産業の持続可能な発展に貢献しています。

特定技能の職種でよくある3つの質問

最後に、特定技能の職種でよくある質問について解説します。

  • 質問1.登録支援機関とは?
  • 質問2.特定技能で外国人労働者を受け入れる方法は?
  • 質問3.今後追加が検討されている職種は?

それぞれについて詳しくみていきましょう。

質問1.登録支援機関とは?

質問1.登録支援機関とは?

引用:登録支援機関(Registered Support Organization) | 出入国在留管理庁

特定技能制度では、外国人労働者を受け入れる「受入れ機関」に、労働者の業務遂行や日常生活をサポートするための「支援計画」の作成と実施が義務付けられています。しかし、受入れ機関が実施すべき支援は広範囲にわたり、専門的な知識が必要です。

これを解決するために「登録支援機関」が存在します。「登録支援機関」は、受入れ機関に代わって特定技能外国人の支援を実施する機関です。登録支援機関は受入れ機関からの支援業務の委託を受け、専門的な支援を提供する役割を果たします。

この体制により、特定技能外国人の円滑な職場定着と生活の質の向上が図られ、日本の労働市場における国際化への対応が強化されています。なお、登録支援機関については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:【担当者必見】登録支援機関とは?特定技能制度における支援内容やメリット、選ぶ際のポイントを解説!

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質問2.特定技能で外国人労働者を受け入れる方法は?

特定技能で外国人労働者を受け入れるには、特定技能の在留資格を有していることが必要です。この資格を取得するためには、日本語試験と対象業務区分の技能試験への合格が必須です。

ただし、技能実習2号を修了した外国人はこれらの試験が免除されます。受け入れ企業は、外国人労働者の入国から帰国までのサポートと支援計画の作成が義務付けられています。

企業自身でこれらの対応が難しい場合は、登録支援機関の利用が可能です。この機関は、外国人労働者のサポートを受け入れ企業に代わって提供しています。

質問3.今後追加が検討されている職種は?

特定技能制度では現在12分野しか設定されておらず、外国人が自由に職種を選ぶにはまだ選択肢が限られています。しかし、将来的には人手不足が続くほかの業種が特定技能に追加される可能性があり、以下の分野での追加が期待されています。

  • コンビニエンスストア
    コンビニエンスストアは特に深夜時間帯の人員確保が難しいとされているが、特定技能の人材採用にかかるコストや居住地の決定の支援など、手間や費用面でのデメリットが多く、活用される可能性が低いと判断されている
  • トラックの運転や配達荷物の仕分け
    運輸業も深刻な人手不足に直面しているが、日本の交通ルールやサービス品質の高さに外国人が馴染むのが難しく、事故などのリスクを考慮し、追加が見送られている
  • 産業廃棄物処理
    主に原子力発電所での勤務が対象なため、安全面の担保が難しいことや、高度な日本語理解能力が必要であるため、追加が見送られている

これらの業種では、特定技能への追加を検討しつつも、多くの課題があるために現在は見送られている状況です。

まとめ

本記事では、特定技能の概要や特定技能の職種12分野の業務内容、特定技能の職種でよくある質問について解説しました。

特定技能には12の分野があり、分野によって従事できる職種が決まっているため、在留資格以外の業務に従事させることはできません。また、特定技能には、1号と2号があり、在留期間や求められる技能水準などの違いがあります。

特定技能の受け入れを検討する場合は、これらの違いについて理解しておかなければなりません。しかし、これらは複雑で理解しにくいため、登録支援機関を活用するのがおすすめです。

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