【最新版】特定技能「製造業」とは?3分野の概要や要件、採用方法をわかりやすく解説します!

特定技能「製造業」は、2022年4月から「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」として統合されました。この分野では、在留外国人労働者の約2割の労働者が従事しており、外国人労働者からも人気のある業種であるといえます。

本記事では、特定技能「製造業」の概要や特定技能「製造業」で外国人を受け入れる企業側の要件と外国人側の要件について解説しています。また、特定技能外国人を採用する方法についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

編集部
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特定技能「製造業」とは?

特定技能「製造業」について解説します。

  • 2022年4月に3つの分野が統合
  • 特定技能「製造業」分野の受入人数上限は「49,750人」

それぞれについて詳しくみていきましょう。

2022年4月に3つの分野が統合

特定技能制度は、国内の人材不足が課題となる産業に、外国人の専門技術や技能を活かすことが目的です。製造業の分野では、これまで「素形材産業分野」「産業機械製造業分野」「電気電子情報関連製造業」という3つの異なる分野で特定技能の申請が求められていました。

しかし、2022年4月からは、これらの3分野が1つの「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」として統合されました。この改変により、申請プロセスが大幅に簡素化され、外国人技能者の受け入れがよりスムーズになることが期待されています。

参考:製造3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)の統合 と今後の対応について|経済産業省

特定技能「製造業」分野の受入人数は「35641人」

特定技能「製造業」分野の受入人数は「35641人」

特定技能「製造業」の分野は、ほかの分野に比べて人手不足が顕著で、令和4年8月30日の閣議決定により、49,750人の受け入れ予定とされました。令和6年度以降の受け入れ人数は未定ですが、この数字に近づくと、在留資格の認定証明書交付停止などの措置が取られる場合があります。

また、在留外国人労働者のなかで「製造業」に従事する人は20.6%を占めており、ほかの業種と比べても高い割合です。特に、令和5年11月末時点で39,344人が製造業に従事していることが注目されています。

製造業の分野は、高度な日本語スキルが必要とされないため、未経験者でもはじめやすく、従事することで専門知識を習得できる点から、外国人労働者に人気のある分野です。

参考:特定技能在留外国人数|出入国在留管理庁

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「素形材産業分野」で従事できる業種と業務内容

「素形材産業分野」は、金属などの素材の鋳造や塑性加工を施して、製品を組み立てる産業を指しています。

該当業種

素形材産業分野に該当する業種は以下のとおりです。

  • 鋳型製造業(中子を含む)
  • 鉄素形材製造業
  • 非鉄金属素形材製造業
  • 作業工具製造業
  • 配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)
  • 金属素形材製品製造業
  • 金属熱処理業
  • 工業窯炉製造業
  • 弁・同附属品製造業
  • 鋳造装置製造業
  • 金属用金型・同部分品・附属品製造業
  • 非金属用金型・同部分品・附属品製造業
  • その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)
  • 工業用模型製造業

参考:製造業における 特定技能外国人材の受入れについて|経済産業省

業務内容

素形材産業分野で、外国人が従事できる業務内容は以下のとおりです。

  • 鋳造  (鋳鉄鋳物鋳造、非鉄金属鋳物鋳造)
  • 鍛造  (ハンマ型鋳造、プレス型鋳造)
  • ダイカスト(ホットチャンバダイカスト、コールドチャンバダイカスト)
  • 機械加工(普通旋盤、フライス盤、数値制御旋盤)
  • 金属プレス加工(金属プレス)
  • 鉄工(構造物鉄工)
  • 工場板金(機械板金)
  • めっき(電気めっき、溶融亜鉛めっき)
  • アルミニウム陽極酸化処理(陽極酸化処理)
  • 仕上げ(治工具仕上げ、金型仕上げ、機械組立て仕上げ)
  • 機械検査(機械検査)
  • 機械保全(機械系保全)
  • 塗装
  • 溶接

参考:製造業における 特定技能外国人材の受入れについて|経済産業省

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「産業機械製造業」で従事できる業種と業務内容

産業機械製造業は、農業や建設業などで使用される機械、設備を製造する産業です。

該当業種

産業機械製造業に該当する業種は以下のとおりです。

  • 機械刃物製造業
  • ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
  • はん用機械器具製造業

(ただし、消火器具・消火装置製造業及び素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)

  • 生産用機械器具製造業

(ただし、素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)

  • 業務用機械器具製造業

(ただし、以下に掲げられた業種に限る)

  • 管理、補助的経済活動を行う事業所(27業務用機械器具製造業)
  • 事務用機械器具製造業
  • サービス用・娯楽用機械器具製造業
  • 計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具・理化学機械器具製造業
  • 光学機械器具・レンズ製造業

業務内容

産業機械製造業で、外国人が従事できる業務内容は以下のとおりです。

  • 鋳造
  • 鍛造
  • ダイカスト
  • 機械加工
  • 金属プレス加工
  • 鉄工
  • 工場板金
  • めっき
  • 仕上げ
  • 機械検査
  • 機械保全
  • 電子機器組立て
  • 電気機器組立て
  • プリント配線板製造
  • プラスチック成形
  • 塗装
  • 溶接
  • 工業包装
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「電気電子情報関連産業」で従事できる業種と業務内容

 電気電子情報関連産業は、主に電子部品や電化製品を製造する産業を指しています。

該当業種

 電気電子情報関連産業に該当する業種は以下のとおりです。

  • 電子部品・デバイス・電子回路製造業
  • 電気機械器具製造業

(ただし、内燃機関電装品製造業及び素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)

  • 情報通信機械器具製造業

業務内容

 電気・電子情報関連産業で、外国人が従事できる業務内容は以下のとおりです。

  • 機械加工
  • 機械保全
  • 塗装
  • 金属プレス加工
  • 電子機器組立て
  • 溶接
  • 工場板金
  • 電気機器組立て
  • 工業包装
  • めっき
  • プリント配線版製造
  • 仕上げ
  • プラスチック成形
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特定技能「製造業」で外国人を受け入れる企業側の要件は3つ

次に、特定技能「製造業」で外国人を受け入れる企業側の要件について解説します。

  • 継続して製造業を行っている
  • 事業者所有の原材料で製造している
  • 受入れ協議・連絡会に入会している

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.継続して製造業を行っている

企業側の受け入れ要件として重要なのは、事業者が過去1年間に素形材、産業機械、電気電子情報関連製造業に分類される産業を営んでいるかどうかです。ここで重要なのは「製造品出荷額等」の計算です。

これは直近1年間の製造品の出荷額、加工賃の収入、くず廃物の出荷額、そのほかの収入の合計で、消費税などの税金を含んだ額を意味します。これらの収入は、外国人を受け入れるための企業側の要件として重要視されるため、事業者はこれらの要件を満たしていることを確認し、適切に申請を実施する必要があります。

2.事業者所有の原材料で製造している

特定技能「製造業」で外国人を受け入れる企業は、自社が所有する原材料を使用して製造し、出荷していることが求められます。この条件には、いくつかの具体的なケースが含まれており、具体的には以下の条件が該当します。

  • 同一企業内のほかの事業所へ引き渡された製品
  • 自社で最終製品として使用されるもの、つまり自家使用された製品
  • 委託販売に出した製品(直近1年間中に返品されたものは除外)

これらのケースは、外国人労働者の受け入れに関する企業側の要件を満たすために重要です。事業者は、自社がこれらの条件を満たしていることを確認し、適切に申請プロセスを進める必要があります。

3.受入れ協議・連絡会に入会している

特定技能「製造業」で外国人を受け入れる企業は、入管庁の審査をクリアしなければなりません。さらに、特定技能外国人をはじめて受け入れ前に、「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への加入が義務付けられています。

この協議会は、特定技能外国人材が働きやすい労働環境を提供し、維持するために設置されており、経済産業省をはじめとする関連省庁が参加しています。協議会の役割は、不正行為の抑制や、労働環境の改善に関するさまざまな事例の共有にあり、適切な外国人労働者受け入れ環境の構築です。

事業者がこの協議会への参加により、受け入れに関する情報やノウハウを共有し、外国人労働者にとって良好な労働環境を整えることが期待されています。また、加入事業者の情報や協議内容は原則公開され、透明性の高い運営が行われている点も注目です。

株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しており、特定技能外国人の受入れにおける豊富な経験と知識を有しています。

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特定技能「製造業」における外国人側の要件は2つ

次に、特定技能「製造業」における外国人側の要件について解説します。

  • 日本語試験に合格している
  • 技能評価試験に合格している

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.日本語試験に合格している

日本での生活や仕事を円滑に実施するための日本語能力を有していることが求められます。具体的には、日本語能力試験(N4レベル以上)か国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル以上)に合格していなければなりません。

これらの試験は、日本語での基本的なコミュニケーション能力を測定するもので、特定技能外国人労働者が日本の職場環境に適応し、効果的にコミュニケーションを取るための基準となっています。

この言語能力の要件は、外国人労働者が日本の職場や社会での日常生活をスムーズに送るために重要であり、彼らが日本の文化や習慣に適応し、仕事の質を高めるための基盤となります。

2.技能評価試験に合格している

2.技能評価試験に合格している

引用:特定技能外国人材制度 (素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイト

特定技能「製造業」で働くことを望む外国人労働者は、日本語能力試験だけでなく、特定の技能評価試験の合格も要求されます。この試験は、希望する業種特有の技術や知識を評価するためのもので、外国人がその分野で必要とされる技能を備えているか確認するためのものです。

ただし、技能実習2号を良好に修了し、その内容が特定技能(1号)の職種と関連している場合は、技能評価試験の受験が免除されるケースがあります。この試験免除は、技能実習を通じて既に一定の技術や知識が身に付いていると認められる場合に適用されます。

参考:製造分野特定技能評価試験 (METI/経済産業省)

実技試験

実技試験

実技試験の試験内容は、日本人向けの技能検定3級程度とされており、実技試験は60%以上で「合格」の判定です。

また、溶接区分のみ、製作等作業方式の実技試験が実施され、JIS Z 3801、半自動溶接作業はJIS Z 3841に基づいて判定します。

参考:製造分野特定技能1号評価試験(日本国内実施)の流れ

学科試験

学科試験では、製造業特有の専門的な日本語能力を測る問題や、定規のメモリを正確に読み取る能力を問う問題が出題されます。これらの問題は、実際の業務で効果的に活躍できるかどうか判断するために設計されています。

合格基準は全体の65%以上の得点で、この基準を満たすと、学科試験に合格認定です。さらに、この学科試験に加えて実技試験も合格することで、製造分野における特定技能1号の技能評価試験全体に合格したと認定されます。

参考:製造分野特定技能評価試験受付サイト

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特定技能外国人を採用する3つの方法

次に、特定技能外国人を採用する方法について解説します。

  • 「技能実習生」から移行する
  • 留学生・アルバイトから移行する
  • 海外から採用する

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.「技能実習生」から移行する

技能実習制度を経た特定技能外国人の採用を検討する場合、日本で2年間の技能実習(技能実習2号)を良好に修了した実習生については採用が可能です。技能実習制度は、日本の先進技術を海外に伝える目的で設けられた在留資格で、実習生は特定の業務に集中して従事します。

技能実習2号を修了した実習生が特定技能外国人として雇用される場合、技能評価試験の受験は免除されます。この制度を利用するには、実習生との合意が必要で、企業側は自社の事業が特定技能外国人の受け入れが可能な業務に該当するか事前に確認が必要です。

2.留学生・アルバイトから移行する

留学生が特定技能外国人として日本で働くためには、日本語試験および特定技能評価試験に合格しなければなりません。また、試験への合格のほか、納税義務を果たしていることが求められます。

また、留学中にアルバイトしていた場合、日本の法律により週28時間以内の就労が定められています。したがって、留学生が特定技能外国人への移行を希望する場合、彼らは就労時間が規定内であることの証明が必要です。

この証明には、源泉徴収票などの公式文書を用いて、出入国在留管理局へ提出し、適切な就労状況を示すことが求められます。

3.海外から採用する

海外から特定技能外国人を採用する場合、候補者は国内外で実施された日本語試験と特定技能試験の合格が必要です。外国人がこれらの試験に合格し、日本の企業と雇用契約を結べれば、在留資格認定証明書の交付と特定技能在留資格の発行を経て、日本での労働を開始できます。

また、これらの採用プロセスには以下の書類が必要です。

  • 申請書(外国人労働者と受け入れ企業がそれぞれ作成)
  • 技能水準、日本語能力水準に関する書類及び労働条件に関する書類
  • 労働保険、社会保険、税に関する書類(外国人労働者と受け入れ機関が用意)
  • 特定技能(1号)の外国人の支援に関する書類

これらの書類の提出と手続きの完了により、特定技能外国人としての日本での就労が実現します。

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特定技能「製造業」でよくある3つの質問

最後に、特定技能「製造業」でよくある質問について解説します。

  • 質問1.登録支援機関とは?
  • 質問2.特定技能外国人と契約する際に必要な書類は?
  • 質問3.素形材産業分野の特定技能1号評価試験とは?

それぞれについて詳しくみていきましょう。

質問1.登録支援機関とは?

特定技能制度では、外国人労働者を受け入れる企業や団体である受入れ機関(特定技能所属機関)に対して、労働者の業務や日常生活をサポートする「支援計画」の作成と実施が義務づけられています。これらの支援計画は、特定技能1号の外国人労働者が日本での活動を安定的かつ円滑に行うために必要です。

この役割を果たすために、「登録支援機関」という制度が設けられており、特定技能所属機関からの委託を受け、特定技能外国人のための支援計画の作成や実施を代行します。これにより、特定技能所属機関は、職場や社会生活に関するサポートを適切に実施できます。

なお、登録支援機関については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:【担当者必見】登録支援機関とは?特定技能制度における支援内容やメリット、選ぶ際のポイントを解説!

質問2.特定技能外国人と契約する際に必要な書類は?

特定技能外国人と契約する際に必要な書類は、主に3つのカテゴリーに分けられます。これらは特定技能ビザの申請に必要で、書類を作成する人も異なります。

これらの書類を整えて出入国在留管理庁に提出することで、在留資格申請が可能です。

  • 申請人(外国人本人)に関する書類
  • 所属機関(雇用企業)に関する書類
  • 産業分野別に関する書類

これらの書類を適切に準備し、申請手続きを実施することで、特定技能外国人の日本での就労が可能になります。

質問3.素形材産業分野の特定技能1号評価試験とは?

素形材産業分野の特定技能1号評価試験は、製造業の素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野に特化した試験で、学科試験と実技試験の両方で構成されています。2022年11月の情報によると、試験は19の区分に分かれており、2023年度からは学科試験の形式が「新区分の共通問題+選択科目の問題」という形に変更されました。

学科試験では、合格基準として65%以上の正解率が求められます。特定技能1号の「素形材産業」在留資格を得るためには、この試験の合格が必要です。

2022年11月時点では、この評価試験は日本のほか、タイ、インドネシア、フィリピン、ネパールで実施されており、各国の現地語で試験が実施されています。

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まとめ

この記事では、特定技能「製造業」の概要や特定技能「製造業」で外国人を受け入れる企業側の要件と外国人側の要件、特定技能外国人を採用する方法について解説しました。

特定技能「製造業」は、2022年4月から「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」として統合されており、外国人労働者からも人気のある業種です。この業種で、特定技能外国人を受け入れたいと考えている企業は、企業と外国人それぞれの要件をしっかりと確認するようにしてください。

ただ、特定技能外国人の受け入れは専門的な知識が必要であるため、登録支援機関の活用をおすすめします。

株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しており、特定技能外国人の受入れにおける豊富な経験と知識を有しています。
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