特定技能制度により外国人を受け入れる際には、定期的な報告が欠かせません。しかし、必要な書類や提出期限、どのような点に注意すべきか、わからない部分も多いのではないでしょうか。

本記事では、特定技能制度の定期報告や必要な書類、提出期限について解説します。また、定期報告における注意点もご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

編集部

特定技能制度の定期報告とは?

特定技能制度を導入している企業は、活動状況や支援状況について定期的に報告する義務があります。具体的には、四半期ごとに出入国在留管理庁への届け出が必要です。

この届け出は、特定技能外国人が適切な労働環境で働いているかを入管が確認するのが目的です。もし、報告を怠ったり、虚偽の情報を提供したりした場合、企業は罰則の対象となるため、正確かつ期限内の届け出が求められます。

登録支援機関の支援を受けている場合に必要な書類

次は、登録支援機関の支援を受けている場合に必要な書類について解説します。

  • 受け入れ企業側が用意する書類
  • 登録支援機関側が用意する書類

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.受け入れ企業側が用意する書類

受け入れ企業が用意する書類は、以下のとおりです。

  • 受け入れ・活動状況に係る届出書

受け入れ企業の雇用状況や特定技能外国人の支援計画などを記入する

  • 特定技能外国人の受け入れ状況・報酬の支払状況

特定技能外国人の氏名、在留カード番号、賃金額などを記入する

  • 賃金台帳の写し

特定技能外国人と日本人従業員の賃金情報を比較して提出する

  • 報酬支払証明書

給与が現金払いの場合に作成する書類で、特定技能外国人本人の署名が必要

2.登録支援機関側が用意する書類

登録支援機関が用意する書類は、以下のとおりです。

  • 相談記録書

特定技能外国人から受けた相談内容を記録する書類

  • 定期面談報告書

特定技能外国人と監督者それぞれに対して実施した面談の結果をまとめる

  • 転職支援実施報告書

特定技能外国人が転職した際に、支援内容を記録する

  • 支援未実施に係る理由書

支援が実施できなかった場合、その理由を記入して提出する

定期報告の提出期間と提出期限

特定技能制度における定期報告は、3か月ごとにしなければなりません。対象期間終了後の報告期間は限られており、提出期限を守る必要があります。

対象期間提出期間
第1四半期1月1日~3月31日4月1日~4月15日
第2四半期4月1日~6月30日7月1日~7月15日
第3四半期7月1日~9月30日10月1日~10月15日
第4四半期10月1日~12月31日翌年1月1日~年1月15日

また、報告が遅れると、制度違反とみなされる可能性があるため、計画的な対応が欠かせません。報告の内容には支援活動や労働状況など詳細な情報が含まれるため、早めの準備や定期的なスケジュール管理が大切です。

提出期限が過ぎた場合の対処方法

提出期限を過ぎた場合は、まず管轄の出入国在留管理局へ相談しなければなりません。その際、提出が遅れた理由を明記した「理由書」を定期報告書に添付して提出する必要があります。

また、「理由書」には特定の形式は設けられていませんが、提出の遅延や未提出は罰則の対象となる可能性があります。このため、提出期限内に報告が完了するように、あらかじめ準備を整えておきましょう。

定期報告の提出先

定期報告は、受け入れ企業の所在地にもとづいて、所管の地方出入国在留管理局またはその支局に提出する必要があります。企業が複数の拠点を持つ場合でも、報告は本社所在地を所管する管理局に提出します。

また、提出方法は、窓口や郵送、オンラインが選択肢となり、窓口に直接提出する際は、身分証明書と企業との関係を示す書類が必要です。郵送の場合は、同様の書類のコピーを同封して、封筒に「特定技能届出書在中」と記載して送付しましょう。

特定技能制度の定期報告における注意点

次は、特定技能制度の定期報告における注意点について解説します。

  • 本届出作成者の署名は本人でなければならない
  • 在籍期間が短くても記入しなければならない

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.本届出作成者の署名は本人でなければならない

本届出作成者の署名は、受け入れ企業の役員がする必要があります。作成者本人の署名が求められるため、代理で他者が署名するのは認められていません。

しかし、署名する人と書類の作成責任者が同一でなくても問題はありません。作成責任者は特定技能所属機関の役職員であれば、作成者でなくても構いませんが、署名には正確性が求められます。

2.在籍期間が短くても記入しなければならない

特定技能外国人が在籍した事実が届出対象期間に含まれる場合、その期間が数日であっても正確に記載しなければなりません。必要ないと自己判断して省略した場合、虚偽の申告とみなされる可能性があるため、注意が必要です。

正確な情報の記載は、企業としての信頼性を保つためにも欠かせないため、届出の際は十分に確認しましょう。

特定技能制度の定期報告でよくある3つの質問

最後に、特定技能制度の定期報告でよくある質問について紹介します。

  • 質問1.オンラインで定期報告を提出する方法は?
  • 質問2.定期報告を怠った場合の罰則は?
  • 質問3.登録支援機関の選び方は?

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

質問1.オンラインで定期報告を提出する方法は?

出入国在留管理庁の電子届出システムを使えば、定期報告をオンラインで簡単に提出できます。このシステムを利用する場合は、事前の「利用者情報登録」が欠かせません。

このため、「利用者情報登録届出書」を管轄の地方出入国在留管理局に対して、窓口での提出や郵送する必要があります。申請完了後、登録が完了するとIDとパスワードが発行され、オンライン提出が可能となります。

質問2.定期報告を怠った場合の罰則は?

特定技能外国人の受け入れに関して、定期報告の際に必要な届出を提出しなかったり、虚偽の内容を申請したりした場合、罰則や過料が科される可能性があります。さらに、将来的に特定技能外国人の受け入れが不可能になる場合があるため、必ず期限内に正確な届出をしなければなりません。

法的なリスクを回避して、円滑な業務運営を続けるために、届出の管理を徹底しましょう。

質問3.登録支援機関の選び方は?

登録支援機関の選び方は、提供されるサポートの質や実績を重視しましょう。すべての登録支援機関が同じサービスを提供しているわけではなく、選ぶ機関によってその内容や質が異なります。

たとえば、実績の豊富な機関は、トラブルが発生した際にも迅速かつ的確な対応が期待できるため、過去の実績を確認しておくのがおすすめです。また、現地の紹介だけでなく、在日外国人の紹介が可能なサービスを提供しているかも大切です。

さらに、紹介料や業務委託料などの料金設定が明確で、継続的に利用しやすいかも考慮しましょう。

まとめ

本記事では、特定技能制度の定期報告や必要な書類、提出期限、定期報告における注意点をご紹介しました。

特定技能制度の定期報告は、受け入れ企業や登録支援機関にとって大切な義務です。報告には、受け入れ企業側と登録支援機関側がそれぞれ用意すべき書類があり、提出期間や期限が厳格に定められています。

特定技能制度における定期報告は、3か月ごとで、対象期間終了後の報告期間は限られています。また、報告が遅れると、制度違反とみなされる可能性があるため、「理由書」と定期報告書を管轄の出入国在留管理局へ提出しなければなりません。

報告書は適切な提出先に届け、署名は作成者本人がする必要があります。さらに、在籍期間が短くても提出を省略してはならないため、注意しましょう。

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