外国人労働者の受入れを検討している企業で、特定技能「協議会」の詳細について知りたいという担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、特定技能「協議会」の概要や加入要件、分野ごとの入会方法について解説します。また、特定技能「協議会」でよくある質問についても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
特定技能「協議会」とは?
特定技能の適正な管理と外国人労働者の権利保護を目的として、「協議会」が存在します。特定技能の外国人を受入れる企業は、各分野に設置された協議会に加盟しなければなりません。
各企業が協議会に加入することで、外国人労働者の受入れ人数の管理が可能になるため、協議会は、各分野の労働力不足を緩和するための取り組みも行っています。また、不安を感じる企業に対しては、専門の登録支援機関を通じて、手続きの代行やサポートも提供しています。
目的
特定技能「協議会」の目的をさらに細かく紹介します。協議会の主な目的は以下のとおりです。
- 特定技能外国人の適正な受入れおよび保護
外国人労働者の権利を守り、安全な環境で働けるようにするために、協議会が受入れ機関に対して調査や指導を実施する
- 企業が必要とする人材を受け入れるための体制づくり
協議会は、人手不足が深刻な各分野において、必要な情報の把握や調査を通じて、人手不足の解消に注力している
この2つの目的の達成により、協議会は外国人労働者と日本の企業の双方にメリットをもたらし、日本の産業の持続可能な発展を支えています。
特定技能「協議会」への加入要件
次に、特定技能「協議会」への加入要件について解説します。
- 加入時期
- 加入費用
それぞれについて詳しくみていきましょう。
加入時期
特定技能「協議会」への加入は、外国人労働者の受入れ開始後4ヶ月以内での加入が義務付けられており、期限を過ぎると在留資格「特定技能」が取り消しされるリスクがあります。
とくに注意が必要なのは、工業製品製造業そして建設分野です。これらの分野では、在留資格の申請前に特定の協議会や(一社)建設技能人材機構(JAC)への加入が求められています。
加入費用
特定技能「協議会」への加入費用は、基本的にはかかりません。しかし、建設業分野のみ入会金が必要になっており、一般的な費用の構成は次のようになっています。
- 正会員(年会費):360,000円
- 賛助会員(賛助会費):240,000円
- 受入負担金:特定技能外国人1人あたりに12,500円~25,000円
とくに、建設業分野に該当する企業については、このような分野による費用の違いについてしっかりと把握しておきましょう。
【分野別】特定技能「協議会」への入会方法
次に、特定技能「協議会」への入会方法を【分野別】に解説します。
- 国交省管轄5分野
- 農林水産省管轄4分野
- 厚生労働省管轄2分野
- 経産省管轄1分野
それぞれについて詳しくみていきましょう。
国交省管轄5分野
国土交通省が管轄する分野は5つあり、それぞれ提出先や提出方法が異なります。受け入れる分野の入会方法をよく確認するようにしてください。
- 建設
JACを通じて間接的または直接的に加入する
参考:建設技能人材機構(JAC)入会のご案内
- 造船・舶用工業
特定技能外国人をはじめて受入れる場合、様式第4号を国土交通省海事局船舶産業課へ郵送する。また、事前に様式第1号の提出が必要となる
参考:造船・舶用工業分野における新たな外国人材の受入れ|国土交通省
- 自動車整備
入会申込書を国土交通省自動車局整備課、地方運輸局、または沖縄総合事務局に提出する
参考:自動車整備分野における「特定技能」の受入れ |国土交通省
- 航空
届出書類をメールまたは郵送で提出する
参考:航空分野における新たな外国人材の受入れ|国土交通省
- 宿泊
入会申込書を「観光庁 観光人材政策室」に郵送する
参考:宿泊分野における外国人材受入れ | 観光庁
農林水産省管轄4分野
農林水産省管轄の4分野における特定技能「協議会」への入会方法は次のとおりです。
- 農業
オンラインフォームを通じて申込みが可能。必要事項を記入し、送信後、加入通知書がメールで届く
参考:「農業特定技能協議会」入会申込みフォーム(法人用)|農林水産省
- 漁業
加入申請書に必要書類を添え、2号構成員に提出する。提出書類には雇用契約や支援計画の概要などが含まれる
参考:漁業特定技能協議会 1号構成員資格証明書交付手続規則
- 飲食料品製造業・外食業
ウェブから加入申請が可能。フォームに記載し提出後、事務局からメールで返信があり、誓約書の写しを添付する必要がある。審査期間は2週間から1か月程度で、認められると加入証がメールで送られてくる
参考:食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について|農林水産省
厚生労働省管轄2分野
厚生労働省管轄の2分野である介護とビルクリーニングの入会方法は以下のとおりです。
- 介護
WEB上で申請が完結する。オンラインシステムでアカウントを取得し、入会申請画面から必要情報を入力、在留資格申請時の書類をPDFでアップロードした後、申請ボタンを押す
参考:「介護分野における特定技能協議会」加入の流れ
- ビルクリーニング
厚生労働省のホームページから電子申請する。申請が承認されると、「ビルクリーニング分野特定技能協議会構成員資格証明書(様式第号)」がメールで送られてくる
参考:ビルクリーニング分野特定技能協議会加入申請ページ
経産省管轄1分野
経済産業省管轄の製造業分野である「工業製品製造業」への特定技能「協議会」加入方法は専用のポータルサイトを通じて実施します。
加入申込みする場合は、対象職種であることを証明する書類が必要です。この証明書類は、ポータルサイトからダウンロードできるテンプレートを使用して作成できます。
このように、製造分野の協議会への加入手続きは必要書類を用意しなければならないため、早めに準備するようにしておきましょう。
参考:受入れ機関向け入会手続き 申込み前の準備|経済産業省
特定技能「協議会」でよくある5つの質問
最後に、特定技能「協議会」でよくある質問を紹介します。
- 質問1.「協議会」の入会証明書は必須?
- 質問2.特定技能「協議会」の問い合わせ先は?
- 質問3.登録支援機関の「協議会」への加入義務は?
- 質問4.特定技能「協議会」に加入できないケースはある?
- 質問5.在留資格の特定活動4ヶ月とは?
それぞれについて詳しくみていきましょう。
質問1.「協議会」の入会証明書は必須?
特定技能「協議会」への入会後、入会証明書の必要性が分野によって異なります。介護、ビルクリーニング、建設、漁業分野では、協議会の入会証明書が必須です。
これらの証明書は、企業が協議会の正式な構成員であることを証明しています。一方で、製造分野では、協議会からの入会証明書の発行はありませんが、経済産業省のホームページに構成員の名簿が掲載されます。
このように分野によって証明書の取り扱いが異なるため、必要な手続きは各分野の公式ホームページで確認しましょう。とくに、特定技能外国人をはじめて受入れる企業は、受入れから4ヶ月以内での協議会への加入が義務付けられています。
質問2.特定技能「協議会」の問い合わせ先は?
特定技能「協議会」の各分野での問い合わせ先は以下のとおりです。
業種 | 問い合わせ先 |
介護分野 | 介護分野における特定技能協議会事務局TEL:03-6206-1262 |
ビルクリーニング分野 | 厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課TEL:03-5253-1111(内線2432) |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野 | 製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会 運営事務局 |
建設分野 | 建設技能人材機構 |
造船・舶用工業分野 | 国土交通省海事局船舶産業課電話 :03-5253-8634 |
自動車整備分野 | 国土交通省自動車局整備課電話 :03-5253-8111(内線42414) |
航空分野 | 航空ネットワーク部航空ネットワーク企画課電話 :03-5253-8111(内線49124)安全部安全政策課乗員政策室電話 :03-5253-8111(内線50357) |
宿泊分野 | 観光庁観光産業課直通:03-5253-8330 |
農業分野 | 経営局就農・女性課代表:03-3502-8111(内線5193) |
漁業分野 | 漁政部企画課ダイヤルイン:03-6744-2340 |
飲食料品製造業分野 | 新事業・食品産業部食品製造課代表:03-3502-8111(内線4162) |
外食業分野 | 新事業・食品産業部食品製造課代表:03-3502-8111(内線4162) |
質問3.登録支援機関の「協議会」への加入義務は?
特定技能労働者の受入れにおいて、登録支援機関の協議会への加入義務は分野によって異なります。加入が必要な分野は造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、飲食料品製造業、外食業で、これらの分野で活動する登録支援機関は、協議会への加入手続きが必要です。
一方で、建設、農業、漁業、介護、ビルクリーニング、工業製品製造業では加入義務がありません。該当する分野でサポート業務を提供する登録支援機関は、適切な準備と手続きが必要です。
なお、登録支援機関の概要については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【担当者必見】登録支援機関とは?特定技能制度における支援内容やメリット、選ぶ際のポイントを解説!
質問4.特定技能「協議会」に加入できないケースはある?
特定技能「協議会」へ加入できない場合もあります。とくに、建設分野や工業製品製造業では、加入できない可能性がゼロではありません。
主な理由は、特定技能外国人を雇用しようとする企業や個人事業主が特定技能制度の条件を満たしていない場合です。建設や工業製品製造業は、条件が複雑であり、申請後に加入が認められない事例があります。
これらの分野では、外国人労働者の雇用を計画する前、つまり入国管理局への申請前に協議会への加入が求められます。協議会への加入が不可能な場合、その企業や事業主は特定技能外国人の雇用を進めることができません。
したがって、加入申請前に、特定技能制度の条件を正確に理解し、準備を整えることが大切です。
質問5.在留資格の特定活動4ヶ月とは?
在留資格「特定活動(4か月・就労可)」は、「特定技能1号」への移行を目指す外国人が、準備期間を要する場合に設けられた特例措置です。
在留期間の満了日までに申請に必要な書類を揃えることができないなど、移行のための準備に時間を要する場合、就労を継続しながら手続きを進めることが可能です。
ただし、この特例措置を利用しての在留資格変更許可申請は、原則としてやむを得ない事情がある場合を除き、受入れ機関の変更を伴う再申請は認められません。また、この在留資格での在留期間は「特定技能1号」の在留期間に含まれ、その上限5年の通算期間に計上されます。
まとめ
この記事では、特定技能「協議会」の概要や加入要件、分野ごとの入会方法について解説しました。
「協議会」は、特定技能の適正な管理と外国人労働者の権利保護を目的としており、特定技能の外国人を受入れる企業は、各業界に設置された協議会への加入が義務付けられています。
また、協議会へは、外国人労働者の受入れ開始後、4ヶ月以内での加入が義務付けられているため、各分野での加入方法を正しく理解し、事前に準備を進めておきましょう。
株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しており、特定技能外国人の受入れにおける豊富な経験と知識を有しています。
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