外国人材の雇用において、採用した外国人が不法就労者とならないよう、企業にはその方の在留カードが有効であるかを確認する義務があります。在留カードの有効期限切れや偽造カードの存在は、企業が不法就労助長罪に問われるという重大なリスクに直結します。

本記事では、このリスクを確実に回避するための最も確実な方法として、出入国在留管理庁が提供する在留カード失効情報照会サービスについて、その概要から具体的な使い方、企業が取るべき行動までを詳しく解説します。

在留カード失効情報照会の基礎知識と2つの目的

在留カード失効情報照会とは、出入国在留管理庁が提供している公式のオンラインサービスで、提示された在留カードや特別永住者証明書に記載されたカード番号が、現在失効していないかを照会できるシステムです。このサービスは、主に企業が外国人材を雇用する際に、カードの有効性を確認するために利用されます。

この照会サービスの最大の目的は、企業が法令を遵守し、不法就労を未然に防ぐためのコンプライアンス対策を支援する点にあります。具体的には、以下の2つの目的で活用されています。

1. 不法就労となる在留カードの確認

在留カードの有効期限が過ぎていたり、在留資格が取り消されていたりすると、そのカードは失効します。失効した在留カードを持つ外国人を雇用した場合、企業は不法就労助長罪に問われるリスクがあります。

本サービスは、採用活動や雇用継続の際に、提示された在留カードが有効であるかを簡易的に確認するために不可欠なシステムです。

なお、不法就労のリスクについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:不法就労とは?外国人採用で企業が知るべき3つのリスクや対策をご紹介! – 株式会社 グローバルヒューマニー・テック

2. 偽造在留カードの利用防止

残念ながら、実在する在留カードの番号を悪用した偽造在留カードが出回っているケースも存在します。多くの場合、偽造カードには実在しない番号や、既に失効した他人の番号が使われているケースがほとんどです。

この失効情報照会サービスを利用し、「失効」または「該当なし」という結果が表示された場合、カード自体が偽造されている可能性を疑うきっかけとなります。これにより、視覚的な確認だけでは見抜けない不正利用を防ぐ効果が期待できます。

在留カード失効情報照会を安全に行う2つの手順

在留カード失効情報照会は、出入国在留管理庁のウェブサイトから誰でも無料かつ匿名で利用できるため、企業側は安心して利用できます。ここからは、在留カード失効情報照会の詳しい手順についてご紹介します。

1. 照会に必要な情報を在留カードから確認する

照会画面で入力が求められる情報は、主に以下の2点です。これらの情報は、必ず外国人から提示された在留カードの原本を基に確認してください。

  • 在留カード等番号

カード表面の右上に記載されている12桁の番号(英字2文字+数字8桁+英字2文字)を確認する

  • 在留カード等有効期間

カード表面下部に記載されている「有効期間満了日」の「年」「月」「日」を確認する

なお、コピーやスキャン画像では、偽造や改ざんを見抜けないため、原本の確認を厳守してください。

2. 出入国在留管理庁のウェブサイトで照会を実行する

必要な情報が手元に揃ったら、出入国在留管理庁の在留カード等番号失効情報照会ページにアクセスし、手順1で確認した情報をそれぞれの入力欄に入力します。

その上で、画像に表示されている文字(キャプチャ)も正確に入力し、「照会」ボタンを押すことで、すぐに結果が表示されます。照会結果は「この在留カード番号は有効です。」または「この在留カード番号は失効しています。」のいずれかで表示されます。

企業が在留カード失効情報照会で注意すべき3つのポイント

在留カード失効情報照会は、企業のコンプライアンスを徹底するための強力なツールですが、その特性を理解し、適切に運用しなければなりません。とくに、外国人材の雇用において、以下の3点に十分注意する必要があります。

1. 照会結果が有効性を完全に証明するわけではない

在留カード失効情報照会で「有効」と表示されたとしても、それは「そのカード番号が失効していない」ことを示しているだけで、照会結果自体が在留カードの有効性や真贋を法的に証明するものではありません。

なぜなら、実在する在留カードの番号を悪用した偽造カードも存在するためです。より確実な偽変造防止対策として、同庁が提供する在留カード等読取アプリケーションを併用し、カードに内蔵されたICチップの情報を確認する方法が推奨されています。

2. 交付情報が即時更新されるわけではない

在留カードの交付情報の更新は、土日祝日を除き、原則として翌日の夕方以降にかけて行われます。そのため、当日に交付されたばかりの在留カード番号は、システムに反映されていないため照会に対応していません。

最新の情報を確認する際は、この更新のタイミングに注意が必要です。照会を行って「該当なし」となった場合でも、慌てずに後日改めて照会を行う、または地方出入国在留管理官署に問い合わせるといった対応が求められます。

3. 在留カード失効以外の確認も必要であること

在留カード失効情報照会では、カードが失効しているか否かのみが確認できます。企業が不法就労を回避するためには、失効の確認に加えて、「就労制限の有無」「在留資格の種類」「資格外活動許可の有無」といった、就労に関する他の重要な情報も合わせて在留カード券面から確認する必要があります。

とくに「在留資格に基づく就労活動のみ可」と記載されている場合は、在留資格の種類と業務内容が合致しているかを必ずチェックしなければなりません。

なお、在留カードの偽造を確認する方法については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

関連記事:在留カードの偽造を確認する方法は3つ|就労資格がない外国人を雇用するリスクもご紹介! – 株式会社 グローバルヒューマニー・テック

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在留カード失効情報照会でよくある3つの質問

在留カード失効情報照会でよくある質問を3つご紹介します。それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

質問1. 照会結果が「失効」だった場合、企業はどのような対応をすべきですか?

「失効」という結果が表示された場合、その在留カードを持つ外国人の雇用はできません。まずは本人に在留カードが失効した理由(有効期限切れ、在留資格取り消しなど)を確認し、在留資格が現在あるのかを詳しく聞く必要があります。

また、不法就労助長罪のリスクを避けるためにも、雇用は直ちに中止し、必要に応じて最寄りの地方出入国在留管理官署に相談するようにしましょう。失効したカードを悪用した偽造の可能性もあるため、慎重な対応が求められます。

質問2. 照会サービスを利用した履歴は残りますか?

出入国在留管理庁が提供する在留カード等番号失効情報照会サービスでは、誰が、いつ、どの番号を照会したかという履歴や記録は残りません。匿名で利用できるため、企業はコンプライアンス体制の強化や定期的な確認のために、在留カードの有効性を安心して照会できます。

雇用継続中の従業員に対しても、在留期間の更新時期などに合わせて定期的に照会を行うことが、不法就労のリスクを抑える上で非常に重要となります。

質問3.外国人登録証明書番号にも対応していますか?

在留カード失効情報照会サービスは、在留カードと特別永住者証明書の番号にのみ対応しており、それ以前の制度であった外国人登録証明書の番号には対応していません。外国人登録証明書は、在留カード制度の導入に伴い、順次在留カードへ切り替えが進められています。

外国人登録証明書の有効性を確認したい場合は、失効情報照会サービスではなく、地方出入国在留管理官署への個別の問い合わせや、外国人登録原票の写しに係る照会が必要です。

まとめ

在留カード失効情報照会は、外国人材を安心して雇用する企業にとって、不法就労助長罪という重大なリスクを回避するための必須のコンプライアンス対策です。出入国在留管理庁のウェブサイトで、在留カード番号と有効期間を入力するだけで、そのカードが失効していないかを確認できます。

ただし、照会結果が有効であっても、偽造カードのリスクを考慮し、ICチップの情報を読み取り可能なアプリケーションの併用や、就労制限の有無などの確認も徹底するようにしてください。外国人雇用は法令遵守が前提となるため、最新の情報と技術を活用し、適法な採用と管理を心がけましょう。

なお、株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しており、外国人の受け入れにおける豊富な経験と知識を有しています。ご相談・お見積りはもちろん無料です。まずはお気軽にお問合せください。⇒株式会社グローバルヒューマニー・テックに相談する