
労働力不足を背景に、優秀で意欲的な留学生のアルバイト雇用を検討している企業が増えています。しかし、留学生を雇用する際には、日本の法律で定められた特有のルール、とくに厳格な時間制限が存在する点を正しく理解しておかなければなりません。
本記事では、留学生アルバイトを雇用する際のポイントと、企業が守るべき時間制限のルールをご紹介します。時間制限を守らなかった場合のリスクやよくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。


留学生アルバイトを雇用する際に確認するポイント
まず、留学生アルバイトを雇用する際に確認するポイントについて解説します。それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.「在留カード」による資格外活動許可の確認
留学生の在留資格である「留学」は、本来就労が認められていません。アルバイトをするためには、必ず「資格外活動許可」を得ている必要があります。
この許可の有無は、留学生が所持している「在留カード」の裏面で確認しましょう。カード裏面の下部にある「資格外活動許可欄」に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」といった趣旨の記載があるか必ず確認してください。
この記載がない留学生は雇用できないため、採用面接の際には必ず在留カードの現物を確認して、コピーを保管しておきましょう。
なお、在留カード就労不可については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:在留カード就労不可とは?アルバイトのルールや在留カード裏面の記載内容確認方法をご紹介!
2.就労が禁止されている業種の把握
資格外活動許可があったとしても、留学生が就労できない業種が存在します。代表的なものが、入管法で定められている「風俗営業または性風俗関連特殊営業」です。
具体的には、客席で接待を行うスナックやキャバレー、パチンコ店、ゲームセンターなどが該当します。これらの店舗では、業務内容が清掃や厨房業務であっても、留学生の雇用自体が法律で禁じられています。
自社の事業がこれらの禁止業種に該当しないか、事前に確認しておかなければなりません。

留学生アルバイトの労働時間制限で企業が守るべきルール3つ
次は、留学生アルバイトの労働時間制限で企業が守るべきルールについて解説します。それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.「週28時間以内」の原則
留学生アルバイトの労働時間は、原則として「週28時間以内」と定められています。これは、留学生の本分である学業に支障をきたさないようにするための措置です。
また、月曜から日曜といった暦週ではなく、「どの7日間を切り取っても28時間以内」でなければなりません。たとえば、火曜日から翌週の月曜日までの7日間で労働時間が28時間を超えていた場合、法律違反となります。シフトを作成する際は、常にこの点を意識しなければなりません。
なお、外国人労働者の勤務時間制限については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:外国人労働者に勤務時間の制限はある?週28時間を守らなかった場合の罰則やよくある質問もご紹介!
2.「掛け持ち」を考慮した合計時間での管理
留学生がアルバイト先を掛け持ちしている場合、週28時間という制限は、自社での労働時間だけでなく、すべてのアルバイト先の労働時間を合計した時間で判断されます。採用時に、ほかでアルバイトをしていないか、している場合は週に何時間働いているかを必ず本人に申告してもらいましょう。
自社でのシフト時間が合計で、週28時間を超えないように調整する義務が雇用主にはあります。この確認と管理を怠ると、自社での勤務が短時間でも、結果的に不法就労に加担してしまうリスクがあります。
3.長期休業期間中の「週40時間以内」という特例
留学生が在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間中は、労働時間の上限が緩和されます。この期間に限り、「1日8時間、週40時間以内」での就労が可能です。
この特例を適用する場合は、必ず本人から学校発行の「長期休業期間を証明する書類」を提出してもらいましょう。対象期間を正確に把握して、「今はおそらく夏休みだろう」といった企業の独自判断で労働時間の延長は絶対に避けるべきです。

時間制限違反で問われる「不法就労助長罪」の3つのリスク
次は、時間制限違反で問われる「不法就労助長罪」のリスクについて解説します。それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1. 刑事罰(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)
不法就労助長罪には、法律(出入国管理及び難民認定法 第73条の2)で重い罰則が定められています。具体的には「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科される可能性があり、企業の代表者や採用担当者も処罰の対象です。
アルバイトの労働時間管理ミスは、企業の信用を失墜させる刑事事件に発展しかねません。このリスクは、経営層も含め全社で認識しておきましょう。
なお、不法就労助長罪の事例については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【2025年最新】不法就労助長罪の事例3選|外国人を雇用する際に知っておきたいポイントもご紹介!
2.行政からの指導と信頼の失墜
刑事罰に至らない場合でも、出入国在留管理庁から厳しい行政指導が入るケースがあります。また、不法就労助長罪で送検された場合、その事実が報道されるケースも少なくありません。
企業のコンプライアンス意識の欠如が社会に露呈するため、取引先や顧客からの信用を失い、事業活動に深刻なダメージを受ける可能性があります。近年は、企業の社会的責任が厳しく問われるため、外国人雇用に関する法令遵守は必須の経営課題です。
3.ほかの外国人材の雇用への悪影響
一度でも不法就労助長罪に問われた企業は、出入国在留管理庁のブラックリストに載る可能性が高いです。この場合、将来的に他の外国人を雇用しようとする際に、その外国人の在留資格認定申請が許可されにくくなるなどの不利益を被るケースがあります。
グローバルな人材活用を進めようとする企業にとって、過去の違反歴は大きな足かせとなり、事業の成長を阻害する要因になりかねません。

外国人採用の相談に「グローバルヒューマニー・テック」がおすすめな理由
株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しています。豊富な実績による盤石なサポート体制とIT技術をかけ合わせた独自のノウハウで、外国人労働者の支援プラットフォームを充実させています。
外国人材の安心安全な採用支援はもちろん、就業支援や生活支援を通じて人手不足をグローバルソリューションで解決するのが私たちの使命です。⇒株式会社グローバルヒューマニー・テックに相談する

留学生 アルバイト 時間制限でよくある3つの質問
最後に、留学生 アルバイト 時間制限でよくある質問について紹介します。それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1. 留学生が卒業した後も、同じ条件でアルバイトを継続して雇用できますか?
原則として、同じ条件では雇用できません。「週28時間以内」というアルバイトの時間制限は、「留学」の在留資格を持つ学生の特例です。
大学や専門学校などを卒業すると在留資格は失効するため、注意しましょう。卒業後も日本で就職活動を行う場合は「特定活動」などへ在留資格を変更する必要があり、労働ルールも変わります。
このため、卒業後も雇用を継続したい場合は、本人がどの在留資格に変更したか在留カードで必ず確認してください。新しい資格で認められた条件の範囲で、改めて雇用契約を結び直す必要があります。
質問2. 在留カードのどこを見れば「資格外活動許可」の有無がわかりますか?
資格外活動許可の有無は、在留カードの裏面で確認しましょう。カード裏面の中段から下部にかけて「資格外活動許可欄」という項目があります。
許可されている場合、この欄にスタンプで「許可」と押印され、「原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」といった許可内容が記載されています。この欄が空欄の場合は、許可を得ていない状態なのでアルバイトとして雇用できません。
質問3. 在留カードの更新申請中であれば、そのまま雇用を継続できますか?
在留期間の更新申請を行うと、在留カード裏面の最下部にある「在留期間更新等許可申請欄」に「申請中」というスタンプが押されます。これにより、カードに記載の有効期限が過ぎても、在留期間満了日から最大2か月の特例期間中は、現在の在留資格のまま就労の継続が法的に認められています。
しかし、この期間内に更新が許可されなかった場合は不法就労となります。このため、本人と状況を把握して、新しい在留カードが発行されたらすみやかに確認しましょう。

まとめ
留学生のアルバイト雇用は多様な人材確保の好機ですが、厳格な法的責任が伴います。採用時には在留カードで「資格外活動許可」を必ず確認してください。
労働時間は、「週28時間以内」(長期休業期間は週40時間以内)のルール徹底が必要です。掛け持ちの有無を確認して、総労働時間で管理しなければなりません。
これらのルールを軽視すると、事業者は「不法就労助長罪」に問われかねません。この罪には、懲役や罰金といった厳しい罰則が科されるリスクがあります。正しい知識と法令遵守のシフト管理が、企業と留学生の双方を守るためのポイントです。
なお、株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しており、外国人の受け入れにおける豊富な経験と知識を有しています。ご相談・お見積りはもちろん無料です。まずはお気軽にお問合せください。⇒株式会社グローバルヒューマニー・テックに相談する

