
物流現場での深刻な人手不足に対し、外国人留学生の物流現場での活用や育成就労の導入を検討されている担当者の方も多いのではないでしょうか。現場の労働力不足は限界に達しており、従来の募集方法では到底追いつかない状況にあります。
外国人材を単なる「不足分を埋めるための労働力」と捉えるのではなく、現場の持続可能性を左右する「不可欠な戦力」として定義し直すことが不可欠です。育成を前提とした採用こそが、安定した現場運営を実現する唯一の答えとなります。
なお、現場で外国人材を戦力化するための具体的なポイントは以下の通りです。
- ステップ①現行の留学生アルバイトからの移行準備
- ステップ②育成就労制度を活用した中長期の育成計画
- ステップ③特定技能への転換による永続的な確保
この記事では、物流業界における外国人留学生の活用や新制度である育成就労の最新動向について解説します。人手不足を解消し現場を安定させるための具体的な3つのステップもご紹介します。


外国人留学生の物流採用における最新動向
物流業界は今、生産年齢人口の減少と荷物量の増加という構造的な矛盾に直面しています。これに対応するため、国を挙げた外国人材の受け入れ体制が急速に整備されており、現場の景色は大きく変わりつつあります。
最新動向①物流の「2024年問題」に伴う特定技能の分野拡大
2024年3月、政府は特定技能制度の対象分野に「自動車運送業」などを追加することを閣議決定しました。これは、トラックドライバー不足を解消するための歴史的な転換点であり、物流倉庫を含むサプライチェーン全体での外国人材活用を後押ししています。
倉庫内作業においても、これまでの補助的な役割から、フォークリフト操作や在庫管理などの専門的な技能を持つ人材の確保が急務です。国土交通省の資料でも、物流の維持に向けた外国人材の積極的な受け入れが強く推奨されています。
参考:自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて|国土交通省
なお、物流倉庫の特定技能で人員不足を解消するポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:物流倉庫の特定技能で人員不足解消!定着の3つのポイント
最新動向②倉庫作業における外国人労働者数の増加傾向
厚生労働省の統計によれば、運輸業・郵便業で働く外国人数は右肩上がりで推移しています。とくに、都市部近郊の大型物流センターでは、多国籍なスタッフが現場を支えることがスタンダードな風景となりました。
多様な国籍の人材が同じ現場で働くことで、作業の標準化やマニュアルのデジタル化といった、組織全体のDX化が進むという副次的な効果も生まれています。
参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)|厚生労働省
最新動向③育成就労制度による「育てる採用」への転換
従来の技能実習制度が抱えていた課題を克服するため、2024年に「育成就労制度」が成立いたしました。これは、単なる労働力の確保ではなく、3年間で特定技能水準まで人材を「育てる」ことを目的とした新しい枠組みです。
この制度の開始により、物流倉庫は短期的な人手不足の解消だけでなく、長期的な視点に立った「人材育成の場」としての役割を求められています。優秀な人材を自社で育て、特定技能へと繋げる道筋が法的に整備されたことは、企業にとって大きなメリットです。
なお、育成就労の概要については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:育成就労の職種は何が変わる?成功させる3つのポイント

育成就労で物流倉庫を安定させるための3つのステップ
最新の動向を把握した上で、実際に外国人材を戦力化するには計画的なアプローチが必要です。ここでは、企業が取り組むべき具体的な3つのステップを提示します。
ステップ①現行の留学生アルバイトからの移行準備
自社の倉庫で既にアルバイトとして働いている優秀な留学生がいる場合、その人材を卒業後に「特定技能」や「育成就労」へ切り替える準備を始めてください。
現場のルールを理解している留学生は、教育コストを低く抑えられる貴重な即戦力候補です。本人の卒業時期や日本での就労希望を早期にヒアリングし、正社員化を見据えたキャリアパスを具体的に提示しましょう。
早期のコミュニケーションは、他社への流出を防ぐだけでなく、本人の就労意欲を高めることにも直結します。日本での定住を希望する外国人材にとって、ビザのサポートは会社に対する強い信頼感を生み出す要因となります。
ステップ②育成就労制度を活用した中長期の育成計画
次に、新設された育成就労制度を活用し、3年間をかけて物流プロフェッショナルを育成する社内プログラムを策定しましょう。単なる荷役作業だけでなく、端末操作や安全管理の理論までを体系的に指導する体制を整えてください。
また、勤務時間内での日本語学習サポートも、特定技能試験の合格には欠かせない重要な要素となります。この3年間の育成期間を通じて築いた人間関係が、その後の特定技能としての長期雇用を支える土台となります。
ステップ③特定技能への転換による永続的な確保
育成就労を修了した人材、あるいは試験に合格した人材を「特定技能1号」として雇用し、現場のリーダーや管理職候補として位置づけてください。特定技能1号からさらに上位の2号へとステップアップできれば、在留期間の制限がなくなり、家族の帯同も可能になります。
これは、企業にとって熟練した人材を生涯にわたって確保できることを意味しており、人手不足問題の根本的な解決につながります。長期的な視点で彼らの生活とキャリアを支援することが、強固な物流基盤を構築するポイントです。

育成就労制度と留学生雇用の厳格な運用ルール
外国人材の活用には、法的なルールの厳格な遵守が求められます。制度の変更点や制限事項を正しく理解し、適正な労務管理を行うことが、企業の社会的責任を果たすことに繋がります。
ルール①育成就労における本人意向の転籍と支援体制
新制度である育成就労では、一定の条件を満たせば、本人希望による「転籍(職場を変えること)」が認められるようになります。これは、従来の技能実習制度にはなかった大きな変更点であり、労働者の権利保護が強化された証明です。
そのため、企業側には「選ばれる職場」であり続ける努力が求められます。適切な賃金体系はもちろん、パワハラのないクリーンな現場環境や、充実した福利厚生を提供することが、人材流出を防ぐための必須条件となります。
ルール②留学生の資格外活動における週28時間制限
現在、多くの物流現場を支えている留学生は、原則として週28時間以内の就労制限を受けています。この時間を1分でも超えて働かせた場合、企業は不法就労助長罪に問われるリスクがあります。
とくに複数の現場を掛け持ちしている留学生の場合、自社での勤務時間だけでなく、全体の労働時間を把握する工夫が必要です。在留カードの確認と、正確な労働時間の記録を徹底し、コンプライアンスを遵守した運用を心がけてください。
なお、外国人労働者の勤務時間の制限については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
関連記事:外国人労働者に勤務時間の制限はある?週28時間を守らなかった場合の罰則やよくある質問もご紹介! – 株式会社 グローバルヒューマニー・テック
ルール③特定技能1号への移行要件と日本語能力試験
特定技能1号へ移行するためには、技能試験と日本語能力試験(JLPTのN4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト)への合格が必須条件となります。
企業は、外国人スタッフがこれらの試験に合格できるよう、学習時間の確保や教材の提供といった支援を行うことが望ましいです。日本語能力の向上は、現場でのコミュニケーションミスを減らし、安全性を高めることにも直結します。
また、特定技能1号の在留期間は通算で5年までと定められていますが、その間に「特定技能2号」の取得を目指すことで、さらなる長期雇用が可能になります。段階的なスキルアップを促す教育体制の構築を急ぎましょう。

物流現場の外国人採用なら「株式会社グローバルヒューマニー・テック」

株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、専門的な知識を活かして、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しています。豊富な実績による盤石なサポート体制とIT技術をかけ合わせた独自のノウハウで、外国人労働者の支援プラットフォームを充実させています。
外国人材の安心安全な採用支援はもちろん、就業支援や生活支援を通じて人手不足をグローバルソリューションで解決するのが私たちの使命です。新分野での受け入れに関しても、最新のガイドラインにもとづいた確実な伴走支援を提供いたします。⇒株式会社グローバルヒューマニー・テックに相談する

外国人留学生の物流採用と育成就労でよくある3つの質問
最後に、外国人留学生の物流採用と育成就労でよくある質問をご紹介します。それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
質問①留学生が学校を卒業した後における雇用継続の注意点は何ですか?
留学生が卒業した時点で、それまで有効だった「留学」の在留資格に伴う資格外活動許可(週28時間以内の就労)は失効します。卒業後に1日でも以前の条件で働かせた場合、企業側も不法就労助長罪に問われる重大なリスクがあるため、卒業前のビザ切り替えが必須です。
適切な手続きとして、卒業の数ヶ月前から「特定技能」や「育成就労」などへの在留資格変更申請を準備してください。この際、大学や専門学校の卒業証明書などの書類が必要になるため、本人と密に連携して行政書士等の専門家と共に計画的に進める体制が求められます。
質問②育成就労で受け入れたスタッフにフォークリフトを操作させるための条件は?
業務上必要であればフォークリフトの操作を任せることは可能ですが、日本の労働安全衛生法に基づく「フォークリフト運転技能講習」を修了し、免許を取得させることが絶対条件です。
無資格での操作は、重大な法令違反であり、万が一の事故の際には企業の管理責任が厳しく追及されます。育成就労の教育計画の中に、免許取得のスケジュールと受験費用の補助をあらかじめ組み込むことを推奨します。
資格取得は本人の技能向上だけでなく、現場全体の作業効率と安全性を高めることに直結するため、企業にとっても非常に投資価値の高い教育支援の1つです。
質問③日本語の理解度が十分でないスタッフに対する最適な安全教育の手法は?
文字による説明を最小限に抑え、写真や動画、イラストを多用した「視覚的に理解できるマニュアル」を導入するのが最も効果的です。また、危険箇所の標識にはベトナム語やネパール語などの主要な言語の翻訳を併記し、誰でも直感的に危険を察知できる環境を整えてください。
加えて、現場でスマートフォンの翻訳アプリや音声翻訳機を即座に使用できるルールを作ることも重要です。言葉の壁を前提とした安全設計を行うことは、結果として「新人の日本人スタッフ」にとっても理解しやすい現場を生み出します。

外国人材を戦力化して物流の未来を築こう!
外国人留学生の活用や育成就労制度の導入は、物流現場の課題を解決するだけでなく、組織そのものを強く、しなやかに進化させる大きな一歩となります。
多様な人材が手を取り合い、共通の目標に向かって働く現場には、新しい活気が生まれます。この記事で解説した、現場で外国人材を定着させるための重要なステップをぜひ実行してみてください。
- ステップ①現行の留学生アルバイトからの移行準備
- ステップ②育成就労制度を活用した中長期の育成計画
- ステップ③特定技能への転換による永続的な確保
現場の環境改善には根気強い取り組みが必要ですが、その努力は安定した現場運営という大きな果実となって返ってきます。誠実に向き合い、共に成長しようとする姿勢があれば、外国人スタッフはあなたの会社の持続的な発展を支える、代えがたい財産となってくれるはずです。
なお、株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しており、外国人の受け入れにおける豊富な経験と知識を有しています。ご相談・お見積りはもちろん無料です。まずはお気軽にお問合せください。⇒株式会社グローバルヒューマニー・テックに相談する



