不法就労とは、日本で働く資格を持たない外国人が、許可なく働くことです。外国人労働者本人だけでなく、雇用した企業にも重い罰則や社会的信用の失墜といった大きなリスクをもたらします。

「知らなかった」「確認を怠った」という過失でも罰則の対象となるため、外国人材を雇用する際は、不法就労の定義や企業が負うリスク、適切な対策を正確に理解しなければなりません。この記事では、不法就労の具体的なケースから企業が受ける罰則、リスクを回避するためのポイントまで、分かりやすく解説します。

不法就労の定義と該当する3つのケース

不法就労とは、日本での就労が認められていない外国人が、報酬を伴う活動を行うことです。これは、外国人本人だけでなく、雇用した企業も処罰の対象となる重大な法律違反です。不法就労に該当する主な3つのケースについて詳しく見ていきましょう。

1.不法滞在者が働くケース

「不法滞在者」とは、入国時の在留期間を超えて日本に残留している「オーバーステイ」や、密入国をした外国人を指します。これらの外国人は、そもそも日本に滞在する資格がないため、当然ながら働くことも認められていません。

雇用主が不法滞在者であると知っていても、知らなかったとしても、雇用した場合は不法就労助長罪に問われる可能性があります。

2.働く許可がない外国人が働くケース

観光や知人訪問を目的とした「短期滞在」や、家族の滞在を目的とした「家族滞在」など、就労が認められていません。このような在留資格を持つ外国人が、出入国在留管理庁の許可を得ずに働くと不法就労になります。

また、労働が認められていない「留学」の在留資格を持つ外国人も、事前に「資格外活動許可」を得ていない場合は、アルバイトであっても不法就労となります。

3.在留資格で認められた範囲を超えて働くケース

日本での就労が許可されている外国人でも、在留資格で認められた活動範囲を超えて働く場合は不法就労です。たとえば、料理人として在留資格を取得した外国人が、工場で単純作業に従事したり、留学生が資格外活動許可で定められた週28時間の上限を超えて働いたりするケースなどが該当します。

雇用する際は、業務内容が在留資格の活動範囲内に収まっているかを必ず確認しなければなりません。

なお、外国人労働者の勤務時間制限については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:外国人労働者に勤務時間の制限はある?週28時間を守らなかった場合の罰則やよくある質問もご紹介!

企業が負う重大なリスクは3つ

外国人材を雇用する企業が不法就労を発生させてしまうと、外国人労働者本人だけでなく、企業自身も厳しい罰則や社会的制裁を受けなければなりません。ここでは、企業が直面する3つの重大なリスクについて解説します。

1.厳しい罰則(不法就労助長罪)

不法就労助長罪とは、就労資格のない外国人を働かせたり、不法就労をあっせんしたりする行為を処罰する法律です。この罪に問われた場合、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方」が科されます。

さらに、2025年6月からは罰則が「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」に引き上げられたため、厳格な対応が求められます。また、「在留カードの確認を怠った」といった過失であっても、罰則の対象となる可能性があるため、企業は細心の注意を払わなければなりません。

なお、不法就労助長罪の事例については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:【2025年最新】不法就労助長罪の事例3選|外国人を雇用する際に知っておきたいポイントもご紹介!

2.企業名の公表や社会的信用の失墜

不法就労助長罪で摘発された場合、罰則だけでなく企業名が公表される可能性もあります。これにより、企業イメージが著しく低下して、取引先との関係悪化や消費者からの信用失墜につながります。

一度失った信用を取り戻すのは、容易ではありません。コンプライアンスを軽視した企業というレッテルを貼られると、優秀な人材の確保が困難になるなど、企業経営に深刻な影響をおよぼすリスクがあります。

3.ハローワークへの届出義務違反

外国人を雇用や離職させる際には、氏名や在留資格、在留期間などを記載した「外国人雇用状況届出書」をハローワークに提出する義務があります。この届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりすると、「30万円以下の罰金」が科される場合があります。

また、不法就労を隠すために届出をしないケースも罰則の対象です。法令遵守の観点からも、適切な手続きを怠らないようにしてください。

なお、外国人雇用状況届出書については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:外国人雇用状況届出書とは?提出方法や記載方法、注意点まで詳しく解説します!

不法就労のリスクを回避するための対策は2つ

不法就労のリスクを回避して、安全に外国人採用を進めるためには、企業自身が主体的に以下の対策を講じなければなりません。ここでは、不法就労のリスクを回避するための対策を解説します。

1.採用時の在留カード・パスポート確認の徹底

外国人材を雇用する際は、必ず在留カードやパスポートなどの身分証明書を確認しましょう。在留カードの以下の点を丁寧に確認しておく必要があります。

  • 有効期限: 在留期間が切れていないか
  • 在留資格: 就労が認められているか
  • 就労制限の有無: 在留資格で認められた活動範囲か
  • 資格外活動許可: 留学生の場合、許可を受けているか、許可された時間数を超えていないか
  • 偽造の可能性: 偽造されたものではないか

これらの確認を怠ると、過失であっても罰則の対象となるため、複数の担当者によるダブルチェック体制を構築するなど、厳格な確認プロセスを設けましょう。また、雇用後も、定期的に在留カードの有効期限を確認して、在留資格の更新状況を管理してください。

2.信頼できる人材紹介会社の利用

外国人採用に関する専門知識が不足している場合、信頼できる人材紹介会社を利用するのも有効な手段です。専門会社は、在留資格の確認や必要な手続きに関して豊富なノウハウを持っており、不法就労のリスクを大幅に軽減できます。

人材紹介会社を選ぶ際は、これまでの実績やサポート体制、外国人労働者本人に対するサポート内容なども考慮して、企業のニーズに合ったパートナーを見つけることが大切です。

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不法就労とはでよくある3つの質問

不法就労とはでよくある質問をご紹介します。それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

質問1.不法就労の外国人を雇用してしまった場合、どうすればいいですか?

不法就労であることを知らずに外国人を雇用してしまい、あとからその事実が判明した場合は、すみやかに雇用契約を解除しなければなりません。そのまま就労を継続させると、企業も罰則の対象となる「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。

雇用契約を解除して、事態を放置せず、出入国在留管理局への相談も検討しましょう。誠意ある対応を取れば、企業のリスクを最小限に抑えられます。

質問2.在留カードの確認だけで大丈夫ですか?

在留カードは、日本に在留する外国人の身分を証明する大切な公的書類です。しかし、偽造されたカードも出回っているため、カードの確認だけで安全とは言い切れません。

偽造防止のホログラムやICチップの読み取り、在留カードに記載された情報とパスポートの情報が一致するかを照合するなど、複数の方法で本人確認を徹底しましょう。また、採用前に不審な点がないか入念に確認すれば、トラブルを未然に防げます。

なお、在留カードの偽造を確認する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:在留カードの偽造を確認する方法は3つ|就労資格がない外国人を雇用するリスクもご紹介!

質問3.留学生のアルバイトは不法就労になりますか?

留学生は、原則として就労が認められていませんが、入国管理局から「資格外活動許可」を得ていれば、アルバイトができます。しかし、資格外活動許可には労働時間の制限があり、通常は週28時間以内と定められています。

この時間を超えて働かせた場合、外国人本人だけでなく、雇用した企業も不法就労助長罪の対象となります。許可の有無や労働時間の上限を正確に把握して、適切な範囲内で雇用しなければなりません。

まとめ

この記事では、不法就労の具体的なケースから企業が受ける罰則、リスクを回避するためのポイントまで、分かりやすく解説しました。

不法就労は、外国人労働者本人だけでなく、雇用する企業にも大きなリスクをもたらす重大な問題です。厳しい罰則や社会的信用の失墜を避けるためには、外国人採用時に在留カードなどの身分証明書を厳格に確認して、雇用後も在留状況の適切な管理が不可欠です。

外国人材を適切に雇用すれば、企業の人手不足を解消するだけでなく、多様な視点を取り入れられるため企業の成長にもつながります。法令を遵守して、健全な体制を整えた上で、外国人材の力を最大限に活かせる体制を構築しましょう。
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