
外国人労働者の勤務時間には、労働基準法の一般的なルールに加えて、在留資格や資格外活動許可の有無によってさまざまな制限が設けられています。留学生や家族滞在の方のアルバイト、ダブルワークの際の時間管理など、雇用する側にとって把握しておくべきポイントもたくさんあります。
本記事では、外国人労働者の勤務時間制限や週28時間を守らなかった場合の罰則をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。


外国人労働者に勤務時間の制限はある?
外国人労働者も日本人同様に労働時間のルールが適用されますが、その制限は在留資格の種類によって異なります。たとえば、「留学」や「家族滞在」、「特定活動」などの資格では、労働可能な時間に制限が設けられているため、管理には細心の注意が必要です。
さらに、残業の上限については、労働基準法や36協定の規定にもとづき、必ず遵守しなければならない点も共通しています。
労働基準法の概要
労働基準法では、労働時間に関して基本的なルールが設けられています。
- 1日の労働時間は最大8時間、1週間では合計40時間までと決められている
- 労働が6時間を超える場合は最低45分、8時間を超える際は1時間以上の休憩を必ず取得させる必要がある
- 毎週少なくとも1日の休日、または4週間で4日以上の休日を労働者に付与する義務がある
また、休憩時間の原則は、以下のとおりです。
- 途中付与の原則:休憩時間は労働時間の途中に与えなければならない
- 一斉付与の原則:休憩時間は原則として一斉に与えなければならない
- 自由利用の原則:休憩時間は自由にさせなければならない
これらの規定は、労働者の健康維持を目的としており、違反した場合は時間外労働となり割増賃金の支払いが発生します。しかし、運輸交通業や金融広告業などの特定の業種は、休憩時間を一斉付与できないため、労使協定の締結なしで個別で休憩を与えられます。
36協定と残業時間
36協定は、時間外労働や休日労働を行う際に、会社と労働者の代表が合意して結ぶ協定です。この協定がなければ残業は認められません。
協定では、以下が明記されています。
- 残業を行う具体的な理由
- 対象業務
- 該当する労働者の人数
- 1日や1か月、年間で許容される残業時間の上限
外国人労働者も同様に36協定の規定が適用され、月45時間、年間360時間までという残業が許される範囲内で働かなければなりません。

在留資格で制限がある外国人の勤務時間
次は、在留資格で制限がある外国人の勤務時間について解説します。
- 留学生がアルバイトで働けるのは週28時間
- 掛け持ち(ダブルワーク)の場合の注意点
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
留学生がアルバイトで働けるのは週28時間
資格外活動許可を受けた留学生は、学校の定める長期休暇期間中に限り、労働基準法に基づく1日8時間、週40時間までの労働が認められています。しかし、休講などの短期的な休暇の場合は、週28時間を超える労働は許されません。
また、「留学」や「家族滞在」、「特定活動」などの在留資格を持つ外国人は、資格外活動の許可がない限り原則として就労が禁止されています。許可なく働くと、不法就労助長罪に問われる可能性があるため、雇用時には資格外活動の有無を在留カードで必ず確認しなければなりません。
なお、家族滞在ビザについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:家族滞在ビザとは?外国人の就労可否や企業にもたらすメリットを詳しくご紹介します!
掛け持ち(ダブルワーク)の場合の注意点
資格外活動許可を持つ外国人が複数の職場で働く場合、すべての勤務先での労働時間を合算して、週28時間以内に収める必要があります。それぞれの職場で個別に28時間働けるわけではないため、掛け持ちを許可する企業は、ほかの勤務先の労働状況を正確に把握しなければなりません。
労働時間や勤務日数の申告を求め、適切な範囲内で勤務するように指導が必要です。また、長期休暇期間中は一時的に週40時間まで労働できますが、その期間や制限解除の時期も確認しましょう。

勤務時間の制限を守らなかった場合の罰則
外国人労働者を労働基準法の定める時間を超えて労働させると、日本人の場合と同様に違法となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
資格外活動許可を受けた留学生などのアルバイトにおいて週28時間を超える労働を許すと、不法就労助長罪に問われます。雇用主には、最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されかねません。
さらに、外国人本人も罰則の対象となり、在留資格の取消しや強制退去処分を受ける可能性が高いため、雇用時の管理は厳重にしなければなりません。
なお、不法就労助長罪の事例については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【2025年最新】不法就労助長罪の事例3選|外国人を雇用する際に知っておきたいポイントもご紹介!

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外国人 勤務時間でよくある3つの質問
最後に、外国人 勤務時間でよくある質問について紹介します。
- 質問1.資格外活動許可を受けていても働けない業種とは?
- 質問2.外国人労働者を雇う際に注意すべき点は?
- 質問3.資格外活動許可の有無はどのように確認できる?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.資格外活動許可を受けていても働けない業種とは?
資格外活動許可を得ていても、すべての業種で働けるわけではありません。パチンコ店やホストクラブ、ダンスホール、バー、風俗営業に該当する店舗では、アルバイトは禁止されています。
たとえば、ラブホテルでの清掃業務も風俗営業に関連するため、原則として認められていません。しかし、卒業後に特定技能の在留資格に変更すれば、風営法の対象外となる宿泊業としてアミューズメント系の施設で働ける場合もあります。
質問2.外国人労働者を雇う際に注意すべき点は?
外国人労働者を採用する際は、労働時間だけでなく、在留資格や資格外活動許可の有無を必ず確認しましょう。在留カードの表裏をしっかりチェックして、「就労制限の有無」や「資格外活動許可欄」の記載を確認します。
また、カードが失効していないか、偽造されていないかも出入国在留管理庁の番号失効情報照会で確かめてください。さらに、雇用期間や勤務時間、給与体系などの労働条件は、外国人労働者にわかりやすく丁寧に説明して、誤解が生じないように事前に十分なすり合わせが必要です。
質問3.資格外活動許可の有無はどのように確認できる?
外国人を雇用する際には、必ず在留カードの裏面にある「資格外活動許可欄」の確認が必要です。この欄に「許可」と記載されていれば、資格外活動の範囲内での労働が認められています。
雇用者は、外国人の在留カードに記載された活動内容を詳しく確認して、許可された範囲を超えた就労を避け、不法就労のリスクを防止しなければなりません。適切な確認が労働トラブルを未然に防ぐ大切なポイントです。
なお、在留カードの偽造を確認する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:在留カードの偽造を確認する方法は3つ|就労資格がない外国人を雇用するリスクもご紹介!

まとめ
本記事では、外国人労働者の勤務時間制限や週28時間を守らなかった場合の罰則をご紹介しました。
外国人労働者の勤務時間は、労働基準法や36協定の枠組みだけでなく、在留資格によっても厳しく制限されています。留学生の場合、アルバイトは週28時間以内と定められており、掛け持ちで複数の職場で働く場合もその合計時間で制限を超えないように、把握しておかなければなりません。
また、制限を守らず働かせた場合、雇用主は不法就労助長罪などで罰則を受ける可能性があり、事業運営に重大な影響をおよぼします。正しい知識で適正な労務管理を心がけましょう。
なお、株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しており、外国人の受け入れにおける豊富な経験と知識を有しています。ご相談・お見積りはもちろん無料です。まずはお気軽にお問合せください。⇒株式会社グローバルヒューマニー・テックに相談する

