外国人労働者を受け入れる5つのメリット|受け入れに関する現状や問題点、注意点まで詳しく解説します!

少子高齢化による人手不足により、外国人労働者の雇用を検討している企業も多いのではないでしょうか。もし、外国人労働者の雇用を検討する場合は、どのようなメリット・デメリットがあるのか事前に理解しておくことが重要です。

この記事では、外国人労働者の受け入れに関する現状や問題点、外国人労働者を受け入れるメリット・デメリットについて解説します。また、外国人労働者の受け入れにおける注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

編集部

外国人労働者の受け入れに関する現状

外国人労働者の受け入れに関する現状について解説します。

  • 日本における外国人労働者の受け入れ状況
  • 外国人労働者受け入れ制度
  • 外国人労働者受け入れが拡大している背景

それぞれについて詳しくみていきましょう。

日本における外国人労働者の受け入れ状況

厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出データによると、新型コロナウイルスの影響により、外国人労働者の数は2020年と2021年に減少傾向です。しかし、2022年には対前年増加率が5.5%に上昇し、10月末時点で182万人を超える外国人が日本で働いています。

これは2007年の外国人雇用状況の届出義務化以降、最多の数です。また、特定技能を含む専門的・技術的分野での在留資格を持つ労働者は、2022年に48万人に達し、年々増加しています。
参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和4年10月末現在)|厚生労働省

外国人労働者受け入れ制度

日本の外国人労働者受け入れ制度は、2019年4月1日からはじまった「特定技能」という新しい在留資格に基づき、特定の業種で働ける外国人が対象です。外国人労働者は大きく5つのカテゴリーに分けられますが、「特定技能」は「専門的・技術的分野」に該当する人々を指します。

これには、定住者や永住者、日本人の配偶者などの身分に基づいて在留している人、高度な技能を持つ経営者や医師、発展途上国への技能移転を目的とした外国人技能実習、特定活動で在留しているワーキングホリデー参加者や看護師、そして留学中のアルバイトなどを実施する資格外活動者が含まれます。

また、2024年度より特定技能1号は16分野へ拡大され、通算5年間の在留が可能で、特定技能2号は建設や造船分野に加え、11分野に拡大され、在留期間に上限がありません。

外国人労働者受け入れが拡大している背景

日本の外国人労働者受け入れの拡大は、少子高齢化に伴う労働力不足の解消が目的です。高齢化が進むなかで、若い労働力の不足を補うため、外国人労働者の重要性が高まっています。

また、特定技能や技能実習などの政策拡充は日本経済に多大な影響をおよぼし、過疎地域の活性化やグローバルな視点の導入に寄与する可能性があります。しかし、国内産業や労働市場への影響、地域コミュニティとの摩擦、外国人に対する否定的なイメージの増加など、解決すべき課題が存在しないわけではありません。

外国人労働者の3つの受け入れ問題

次に、外国人労働者の受け入れに関する問題について解説します。

  • 安価な労働力と誤解されやすい
  • 労働環境が整備されていない
  • 外国人労働者への差別がある

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.安価な労働力と誤解されやすい

外国人労働者も日本人と同様、最低賃金や同一労働同一賃金の適用を受け、違法に低い賃金での雇用は許されません。また、日本とアジア諸国の賃金差は縮小しているため、安い給与では外国人労働者を採用すること自体が難しくなっています。

また、外国人労働者の雇用において、給与以外にも住まいの手配や支援団体や送り出し機関への費用が発生するため、一概に安価な労働力とはいえません。企業や採用担当者は、これらの事実を正しく理解し、外国人労働者の公正な扱いが必要です。

2.労働環境が整備されていない

新しい国での生活はストレスとなり得るため、労働環境はとくに重要です。しかし、現状では長時間労働や差別、いじめ、パワーハラスメントなどの問題が報告され、外国人労働者にとって働きやすい環境を構築するうえで大きな障壁となっています。

日本がさらに多くの外国人労働者を受け入れ、彼らが活躍するためには、健全で公平な労働環境の確立が不可欠です。これには、労働条件の改善や文化的な違いの理解と尊重、さらには適切なサポート体制の構築が求められます。

3.外国人労働者への差別がある

現状は、言語の壁を理由に、差別用語を使う精神的攻撃や暴力的な指導など、人権侵害にあたる行為がゼロではありません。さらに、宗教的信仰に基づく行為への不当な制限も見受けられ、外国人労働者に対する尊重の欠如が問題となっています。

言葉の不一致や文化的な違いは、コミュニケーションや理解に障壁を生じさせる場合がありますが、それを理由にした差別や虐待は決して許されるものではありません。

外国人労働者を受け入れる5つのメリット

次に、外国人労働者を受け入れるメリットについて解説します。

  • 人手不足の解消
  • 新しいアイデアの創出につながる
  • 社内のグローバル化
  • 採用コストの削減につながる
  • 海外進出の足掛かりになる

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.人手不足の解消

日本の少子高齢化社会では、若い労働力の確保が難しい状況であるため、外国人労働者の受け入れは大きなメリットです。多くの外国人は優秀な人材であり、とくに技術分野においては、エンジニアの枠での採用が増加しています。

日本企業が国際的な進出を目指す場合、バイリンガルやマルチリンガルな外国人労働者の雇用は、その戦略において重要です。このような外国人労働者の積極的な採用は、日本の人材不足を緩和するだけでなく、多様な文化的背景を持つ人材を取り入れ、グローバルなビジネスの可能性につながります。

2.新しいアイデアの創出につながる

異なる文化背景や言語、宗教を持つ外国人労働者には、これまで日本の企業では創出されなかった斬新な視点や解決策が期待できます。外国人労働者の参加により、社内の議論は多様な意見に富み、従来の枠組みを超えたアプローチが可能です。

たとえば、1つの問題に対する選択肢が増えたり、海外での新しい取り組みが導入されることで、企業は革新的な方向へと発展できます。このプロセスを通じて、技術的な進歩や企業文化の発展が期待されます。

3.社内のグローバル化

多言語を操る外国人労働者は、日本語に加え、母国語や英語など複数の言語を話す場合が多く、これにより海外の顧客とのコミュニケーションや通訳、接客など多岐にわたる業務での活躍が期待できます。

このように、外国人労働者の持つ独自の知識や技術を取り入れることで、事業の幅が広がり、また英語を公用語とするなど、より国際的な企業文化が築けます。これらの要素は、企業の国際競争力を高めるうえで非常に重要な要素です。

4.採用コストの削減につながる

日本国内ではIT業界だけでなく、介護や建設、飲食業などさまざまな分野で人材不足が深刻化しています。これらの業界では、求人を出しても十分な応募が得られなかったり、早期離職による継続的な募集活動は経済的な負担です。

このような状況下で、外国人労働者の雇用により、求職者の幅が広がり、長期的な雇用サイクルを維持できます。また、国や自治体からの助成金を活用して、費用負担を軽減し、経済的な余裕を持って優秀な人材を探せます。

5.海外進出の足掛かりになる

意欲が高く、専門知識を持った外国人労働者は、最新技術や海外のトレンドを企業にもたらします。これにより、海外市場のニーズに合わせた製品開発やサービスの提供が可能となり、企業の国際競争力の強化が可能です。

さらに、外国人労働者は彼らの母国語や文化の理解を活かして、海外市場への適応を助けます。これは、海外でのビジネス展開や交渉、手続きを円滑に進めるうえで非常に重要です。

日本企業が海外市場に進出する際には、言語や文化の障壁が大きな課題となり得るため、多言語を話す労働者はその障壁を解消する役割を果たします。

外国人労働者を受け入れる3つのデメリット

次に、外国人労働者を受け入れるデメリットを紹介します。

  • 生活習慣や文化に違いがある
  • 受け入れまでに時間がかかる
  • 手続きや就労ルールが煩雑

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.生活習慣や文化に違いがある

異なる文化背景を持つ労働者が集まることで、食事の習慣や宗教的制約など、日常生活におけるさまざまな相違点が浮き彫りになります。これらの違いは、意図せずとも相手を不快にさせたり、場合によっては法的な問題に発展します。

そのため、労働者と雇用者の間でお互いの文化を理解し尊重することは非常に重要です。雇用側は異文化への理解を深め、労働者にも日本の文化を適切に理解してもらう必要があります。

2.受け入れまでに時間がかかる

海外からの外国人労働者を採用する場合、在留資格認定証明書の発行や渡航準備に長い時間を要するため、採用後すぐに業務を開始するのは困難です。日本国内に居住する外国人の場合でも、在留資格の変更手続きが必要となり、これが完了するまでは働けません。

ただし、海外の人材はより多くの候補者から選択でき、希望に合った人材を見つける確率が高まるというメリットもあります。しかし、このプロセスには根気と時間が必要となるため、長期的な人材採用計画のもと計画的に進める必要があります。

3.入管法による手続きや就労規定が煩雑

在留資格によっては特定の職種での就労が許可されていないため、これらの規制を理解していないと法律違反に抵触するリスクがあります。外国人を雇用する際には、就労できる在留資格の申請を含む複数の手続きを実施し、出入国管理および難民認定法に定められた要件をクリアしなければなりません。

これらのプロセスは複雑であり、基礎的な知識の習得が重要になります。もし、知識の習得が難しい場合は、外国人労働者の受け入れに精通した人材紹介企業などの専門家に相談することがおすすめです。

株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しており、特定技能外国人の受入れにおける豊富な経験と知識を有しています。ご相談・お見積りはもちろん無料です。まずはお気軽にお問合せください。
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外国人労働者の受け入れにおける3つの注意点

次に、外国人労働者の受け入れにおける注意点について解説します。

  • 在留資格が必要
  • 在留資格に合った仕事内容でなければならない
  • 受け入れ企業が支援体制を整える必要がある

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.在留資格が必要

在留資格には、働くことが許可されているものや条件付きでの就労が可能なもの、そして就労が一切認められていないものがあります。企業が在留資格を持たない外国人を雇用した場合は、不法就労とみなされてしまうため、十分に注意してください。

たとえば、「留学」の在留資格を持つ外国人学生や、就労ビザを持つ外国人労働者の配偶者に与えられる「家族滞在」の在留資格では、原則として就労が禁止されています。これらの外国人が日本で働くためには、別途「資格外活動の許可」を申請し、週28時間以内の就労許可を得る必要があります。

2.在留資格に合った仕事内容でなければならない

在留資格によっては、特定の職種でのみ就労が許可されており、その範囲を超えた就労は認められていません。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は就労時間の制限はなく、労働法に基づく就労が可能ですが、職種が限定されることになります。

そのため、外国人労働者を受け入れる際には、彼らの在留資格と予定されている仕事内容が一致しているかの確認が不可欠です。もし、在留資格に合わない業務に就労した場合、不法就労と判断されるおそれがあるため、注意が必要です。

3.受け入れ企業が支援体制を整える必要がある

外国人労働者を受け入れる際には、企業側が適切な支援体制を整える必要があります。以下の点に注意し、効果的なサポートを提供しましょう。

  • 入社前の説明・手続き
    労働条件の明確な説明、住まいをはじめとする生活環境の準備、転入届など
  • 生活サポート
    銀行口座の開設、各種契約手続き、日本人との交流、日本での生活に必要な情報の提供など
  • 職場環境のサポート
    社内ルールの周知を目的としたオリエンテーション、日本語学習の支援など

海外から来た外国人従業員は、日本の生活習慣や業務に不慣れであるため、企業の管理部門や現場でのサポートが不可欠です。

外国人労働者のメリットでよくある3つの質問

最後に、外国人労働者のメリットでよくある質問を紹介します。

  • 質問1.外国人雇用でも受給できる助成金とは?
  • 質問2.特定支援機関に支援を委託するメリットは?
  • 質問3.特定技能1号の14分野とは?

それぞれについて詳しくみていきましょう。

質問1.外国人雇用でも受給できる助成金とは?

外国人を雇用する際、雇用保険に加入している事業所は厚生労働省から提供される助成金を活用できます。ここでは、とくに多くの事業所が対象となりやすい2つの助成金を紹介します。

  • トライアル雇用助成金(一般コース)
    就職に困難を抱える外国人を雇用する際に受けられる助成金。ハローワークや職業紹介事業者の紹介による一定期間の試行雇用に対し、1人あたり最大5万円(最長3ヶ月)が支給される
  • 人材開発支援助成金(特定訓練コース)
    職務に関連する専門知識や技能の取得にかかる賃金や経費の補助が目的。訓練計画をハローワークや管轄労働局に提出すると、最大で50万円の補助が受けられる

これらの助成金は外国人雇用を支援するためのものですが、ほかにもさまざまな助成金が存在します。詳細はハローワークや管轄の労働局で確認してみてください。
参考:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|厚生労働省
参考:人材開発支援助成金|厚生労働省

質問2.登録支援機関に支援を委託するメリットは?

登録支援機関への委託は多くのメリットをもたらします。主なメリットは以下のとおりです。

  • 労力と時間の節約
    外国人労働者への生活支援業務を社内で行う必要がなくなり、社内リソースの効率的な活用が可能になる
  • 人手不足の解消
    生活支援業務を登録支援機関に委託することで、社内の人手は業務サポートに集中でき、労働力不足の解消につながる
  • 雇用打ち切りリスクの低減
    不十分な生活支援による雇用打ち切りのリスクを、登録支援機関の専門的なサポートによって低減できる
  • 転職リスクの低減
    適切な支援により、特定技能外国人労働者の転職リスクを減らす

登録支援機関に支援を委託することで、外国人労働者が抱える多様な問題を効果的に解決し、彼らが安心して働ける環境を整えられます。
なお、登録支援機関については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【担当者必見】登録支援機関とは?特定技能制度における支援内容やメリット、選ぶ際のポイントを解説!

質問3.特定技能1号の14分野とは?

2024年3月の閣議により、特定技能1号の受け入れ分野は14分野から16分野に変更され、受入れ見込み人数も34万人から82万人に拡大されました。

とくに「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」は「工業製品製造業」となり、業務区分が3区分から10区分に拡大され、「機械金属加工」、「電気電子機組立て」、「金属表面処理」、「紙器・段ボール箱製造」、「コンクリート製品製造」、「陶磁器製品製造」、「紡績製品製造」、「RPF製造」、「縫製」「印刷・製本」へとかわりました。
統合後の特定技能1号の受け入れ分野は以下のとおりです。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 「工業製品製造業」
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 林業
  • 木材産業

まとめ

この記事では、外国人労働者の受け入れに関する現状や問題点、外国人労働者を受け入れるメリット・デメリット、受け入れにおける注意点について解説しました。

外国人労働者の受け入れにおいては、人手不足の解消や社内のグローバル化、採用コスト低減などのメリットがあります。一方で、生活習慣や文化の違いなど、採用後に直面する課題も存在します。

とくに、はじめて外国人労働者を雇用する場合は、手続きや就労ルールを把握するのに苦労する企業も少なくありません。もし、スピーディかつ適法な雇用を望むのであれば、登録支援機関に手続きを委託するのがおすすめです。

株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しており、特定技能外国人の受入れにおける豊富な経験と知識を有しています。ご相談・お見積りはもちろん無料です。まずはお気軽にお問合せください。
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