外国人の雇用を検討する企業は、偽造された在留カードや適切な在留資格を持っていない不法滞在者を見分けなければなりません。不法滞在者を雇用した場合、事業主は不法就労助長罪に問われる可能性があり、罰金が科されるリスクがあります。

本記事では、不法滞在者の特徴と見分け方や外国人を雇用する際に注意すべきポイントをご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

編集部

不法滞在者の特徴と見分け方とは?

外国人労働者を雇用する際には、その人が適切な在留資格を持っているかの確認が大切です。確認する項目としては、以下のとおりです。

項目確認内容
在留カードの有効期限在留カードの有効期限が切れていないか確認する
在留資格の適切性在留資格が現在の業務内容に適合しているか、就労時間が在留資格に定められた範囲内かを確認する
偽造の疑い在留カードのホログラムや法務省が提供しているアプリケーションで、偽造の有無をチェックする
不自然な言動や書類の不備言動や書類に不審な点がないかを確認して、不審点がある場合は慎重に対応する

オーバーステイと不法滞在の違い

オーバーステイは、日本に合法的に入国後、在留期限が過ぎても滞在を続ける状態です。この場合、期限内に在留資格を延長しなかった点が問題となります。

一方、不法滞在には、はじめから適切な在留資格を持たずに入国するケースや虚偽の申請で資格を取得したケースも含まれます。不法滞在者への対応は厳格であり、雇用する側も法令にもとづいた確認と対策をしなければなりません。

企業が外国人を雇用する際に注意すべきポイントは3つ

次は、企業が外国人を雇用する際に注意すべきポイントについて解説します。

  • 不法就労助長罪に問われないように注意する
  • 採用する際は在留カードのコピーを保管する
  • 在留カードの再交付が必要な場合は14日以内に申請する

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.不法就労助長罪に問われないように注意する

外国人を雇用する際には、在留資格が就労を許可するものであるかを確認する義務があります。不法滞在者や就労資格のない外国人を雇用した場合、事業主は不法就労助長罪に問われる可能性があり、最大で3年の懲役または300万円の罰金が科されるリスクがあります。

また、在留カードの確認が不十分であった場合も、知らなかったからといって免責されるわけではありません。不法滞在の可能性がある場合は、すみやかに出入国在留管理庁への通報を検討しましょう。

2.採用する際は在留カードのコピーを保管する

外国人労働者を雇用する際は、在留カードの原本を確認して、そのコピーを保管しておくと在留期限の管理がしやすくなります。さらに、パスポートのコピーも取っておけば、本人確認がより確実です。

もし、偽造の在留カードや不法就労の疑いがある場合は、すみやかに出入国在留管理庁に連絡しましょう。在留期限が過ぎた状態での就労は不法滞在となり、事業主も罰則の対象となる可能性があるため、適切な管理が必要です。

3.在留カードの再交付が必要な場合は14日以内に申請する

外国人労働者が在留カードを紛失した場合、すみやかに手続きを進めなければなりません。紛失を知った日から14日以内に、最寄りの警察署で紛失届を提出して、その際に発行される遺失届出証明書を持って管轄の出入国在留管理局で再交付申請します。

また、企業が申請取次の承認を受けている場合は、申請の代行が可能です。適切な手続きのサポートにより、外国人労働者が安心して勤務を続けられる環境を整えましょう。

なお、在留カードを紛失した場合の再交付申請期限については、こちらの記事で解説しています。

関連記事:在留カードを紛失した場合の再交付申請期限とは?常時携帯の必要性や再交付手続きをご紹介!

不法滞在者による影響とリスク

次は、不法滞在者による影響とリスクについて解説します。

  • 不法滞在者を通報した場合
  • 不法滞在者の住居に関するリスク

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

不法滞在者を通報した場合

不法滞在者が通報されると、不法滞在者は入国管理局の調査対象となり、必要に応じて強制退去処分が科される可能性が生じます。通報者には、基本的に法的責任は生じませんが、虚偽の通報は通報者自身が法的処分を受けるリスクを伴います。

また、地域社会や周囲の人々への影響も考慮しなければなりません。通報は、匿名で可能ですが、その後の対応についても理解して、責任ある判断が求められます。

不法滞在者の住居に関するリスク

不法滞在者に住居を提供することは、提供者にも重大なリスクをもたらします。不法滞在者をかくまう行為は「不法就労助長罪」に該当する可能性があり、懲役や罰金などの刑罰の対象となりかねません。

また、住居提供者が地域社会からの信頼を失うリスクも伴います。さらに、不法滞在者が犯罪に関与している場合、その住居が違法活動の拠点とされる可能性もあります。リスクを避けるためには、住居を提供する際に在留資格を厳重に確認して、適切な対応を心がけましょう。

不法滞在の見分け方でよくある3つの質問

最後に、不法滞在の見分け方でよくある質問について紹介します。

  • 質問1.不法滞在になるタイミングはいつから?
  • 質問2.在留カードで再入国できる期間は?
  • 質問3.不法就労助長罪による罰則とは?

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

質問1.不法滞在になるタイミングはいつから?

不法滞在は、外国人が日本での在留資格を失った瞬間からが対象です。たとえば、在留カードやパスポートの有効期限が切れたり、更新が拒否されたりした場合、その翌日から不法滞在者として扱われます。

また、最初から適正な資格を持たずに入国した場合や、偽造カードを使用して滞在を続けるケースも不法滞在に含まれます。不法滞在が発覚した場合、本人には強制退去や再入国禁止といった罰則が適用されかねません。さらに、雇用者側にも法的な責任が生じるため、資格の確認は必須です。

質問2.在留カードで再入国できる期間は?

外国人労働者が日本を出国する際、在留カードを提示すれば、1年以内に再入国する場合は「みなし再入国」が適用され、同じ在留資格で戻れます。しかし、1年以内に戻らないと在留カードは失効してしまうため、注意が必要です。

多くの外国人がこのルールを知らず、在留資格を再取得するケースも少なくありません。長期間の出張が予定されている場合は、企業側も再入国許可を取るよう促しましょう。予期せぬ状況で帰国が遅れるリスクも考慮して、事前の手続きが大切です。

質問3.不法就労助長罪による罰則とは?

不法就労に関する法的な罰則は、外国人労働者と企業の双方に厳しく適用されます。外国人が不法入国や無許可で資格外の活動を行った場合、最長で3年の懲役または300万円の罰金、在留資格の取り消しや退去強制処分が科される可能性が高いです。

さらに、企業側も、不法就労助長罪に問われると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が科される場合があります。また、2025年6月以降、罰則がさらに厳しくなるため、外国人雇用には慎重な対応が求められます。

まとめ

本記事では、不法滞在者の特徴と見分け方や外国人を雇用する際に注意すべきポイントをご紹介しました。

不法滞在は、はじめから適切な在留資格を持たずに入国するケースや虚偽の申請で資格を取得したケースも含まれます。オーバーステイという似ている言葉がありますが、これは日本に合法的に入国した後、在留期限が過ぎても滞在を続けている状態です。

不法滞在者の特徴と見分け方は、在留カードの有効期限や在留資格の内容が仕事と適合しているか、偽造の疑いはないかなどを確認しましょう。外国人を雇用する際には、在留資格が就労を許可するものであるかを確認する義務があり、不法就労助長罪に問われないように注意が必要です。

たとえば、在留カードやパスポートのコピーの保管や、在留カードの再発行が必要な場合は14日以内に申請するようにしてください。

また、不法滞在を通報した場合、基本的に法的責任は生じませんが、虚偽の通報は通報者自身が法的処分を受けるリスクを伴います。さらに、不法滞在者をかくまう行為は「不法就労助長罪」に該当する可能性があり、懲役や罰金などの刑罰の対象となりかねません。

なお、株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しており、外国人の受け入れにおける豊富な経験と知識を有しています。

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