特定技能外国人を受け入れる際は、健康状態が良好であることが出入国在留管理庁による運用要領で義務付けられています。また、受け入れた後も、定期的に健康診断を受診させ、必要に応じたサポートや配慮が不可欠です。
本記事では、特定技能外国人の健康診断で理解すべきポイントや健康診断における注意点について解説します。また、よくある質問についても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
特定技能外国人の健康診断で理解すべき5つのポイント
特定技能外国人の健康診断で理解しておくべきポイントについて解説します。
- 必要な背景
- 費用相場
- 受診する場所
- 受診すべきタイミング
- 受診が必要な診断項目
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.必要な背景
特定技能外国人の健康診断については、出入国在留管理庁による特定技能外国人受け入れに関する運用要領に基づいています。この要領では、特定技能外国人の要件の1つとして、健康状態が良好である点が挙げられています。
労働においては体が資本であるため、特定技能ビザを得るためには、日本語試験や技能試験への合格に加え、良好な健康状態であることが不可欠です。
2.費用相場
特定技能外国人の健康診断における一般的な費用相場は1万円程度です。この費用は、特定技能外国人を受け入れる企業が負担しなければなりません。
また、健康診断の結果に基づいて、必要に応じたサポートや配慮も、企業の大切な役割です。特定技能外国人の健康診断にあたっては、計画的に予算を配分し、外国人労働者の健康と安全を守るようにしましょう。
3.受診する場所
特定技能外国人の健康診断を受ける場所は、居住地によって異なります。日本に住む外国人の場合は、日本国内の病院やクリニックで必要な検査が受けられます。このときに、健康診断個人票に記載されているすべての項目を検査しなければならない点に留意してください。
海外に居住する人の場合は、検査を受けられるのは基本的に海外の病院ですが、すべての検査項目をカバーするためには、国立病院などの大規模な医療機関での受診が必要になるケースが多いです。
4.受診すべきタイミング
次に、健康診断を受診すべきタイミングについて解説します。
- 国内在住者の場合
- 国外在住者の場合
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.国内在住者の場合
在留資格変更許可申請を実施するにあたり、必要とされる健康診断は申請の日から遡って1年以内に受けたものでなければなりません。これには技能実習生や留学生も含まれます。
つまり、特定技能への在留資格変更を希望する場合は、過去1年間に日本の医療機関で受けた健康診断の結果があれば、その診断書を提出できます。
1年を超えている場合やまだ健康診断を受けていない場合は、在留資格変更の申請前に健康診断を受け、その結果をもって申請手続きを進めなくてはなりません。
2.国外在住者の場合
在留資格認定証明書の交付申請を提出する日から遡って3か月以内に受診した健康診断の結果が必要です。しかし、予約の取りづらい病院やクリニックのある国も存在するため、この期間内に健康診断を完了させる計画を事前に立てる必要があります。
そのため、健康診断を申請日の3か月以内に受診できるのか、外国人にしっかりと確認するようにしましょう。
5.受診が必要な診断項目
健康診断で受診が必要な項目は以下のとおりです。
- 既往歴および業務歴の調査
- 自覚症状および他覚症状の有無の検査
- 身長
- 体重
- 腹囲
- 視力および聴力の検査
- 胸部エックス線検査
- 血圧の測定
- 貧血検査(赤血球数、血色素量)
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
- 血中脂質検査(LDL コレステロール、HDL コレステロール、血清トリグリセライド)
- 血糖検査
- 尿検査(尿中の糖および蛋白の有無の検査)
- 心電図検査(安静時心電図検査)
これらの検査項目は、個人の健康状態を詳細に把握し、早期に問題を発見するために不可欠です。
特定技能外国人の健康診断における3つの注意点
次に、特定技能外国人の健康診断における注意点について解説します。
- 健康診断個人票は母国語で作成する
- 健康診断の結果には有効期限がある
- 健康診断に問題があった場合は別途検査が必要
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.健康診断個人票は母国語で作成する
申請人が自らの健康状態を正確に理解し、適切な対応を取るために重要です。さらに、この健康診断個人票の日本語訳も合わせて提出しなければなりません。
出入国在留管理庁のホームページでは、多言語で翻訳された健康診断に関する様式が提供されています。これらを活用して、必要な文書を適切な言語でスムーズに準備する必要があります。
2.健康診断の結果には有効期限がある
健康診断を受けるタイミングは、特定技能在留資格の申請に大きく関わります。具体的には、在留資格申請日から遡って1年以内に受けた健康診断の結果でなければなりません。
この期限を超えた健康診断結果は無効となり、在留資格申請申請に影響をおよぼす可能性があります。そのため、在留資格申請の計画を立てる際は、健康診断のタイミングを慎重に調整し、有効期限内に収まるようにしましょう。
3.健康診断に問題があった場合は別途検査が必要
健康診断で問題が見つかった場合は、追加の検査が必要となるケースがあります。とくに、胸部エックス線検査で異常が発見された場合は、喀痰検査を通じて活動性結核でないことを確認しなければなりません。
この確認作業は、最終的に職務を安定的に、そして継続的に遂行できるかどうかを判断するうえで不可欠です。もし職務遂行が難しいと判断される場合、特定技能ビザの申請が認められない可能性があるため、健康状態の管理と検査結果への迅速な対応が求められます。
特定技能外国人の健康診断でよくある5つの質問
最後に、特定技能外国人の健康診断でよくある質問を紹介します。
- 質問1.入国管理局に提出しなければならない健康診断に関する書類は?
- 質問2.深夜業に従事する特定技能外国人の健康診断で注意すべき点は?
- 質問3.特定技能外国人が病気や事故にあった場合の責任や補償は?
- 質問4.技能実習生が受診すべき健康診断は?
- 質問5.日本人労働者の健康診断との違いは?
それぞれについて詳しくみていきましょう。
質問1.入国管理局に提出しなければならない健康診断に関する書類は?
入国管理局に提出が必要な健康診断に関する書類は以下の2点です。
- 健康診断個人票
出入国在留管理庁が提供する書式例に沿った内容でなくても問題ないが、指定された診断項目をすべて含む必要がある。万が一診断漏れや記入漏れがある場合、再提出を求められる可能性がある
- 受診者の申告書
健康診断を受けるにあたり、受診者が通院歴や手術歴、薬歴などを正直に申告し、その内容を記載した書類。この書類も外国人が理解できる言語で作成され、健康診断後に提出しなければならない
提出する書類は、受診者が理解できる言語で作成し、必要に応じて日本語訳を添付することが求められます。出入国在留管理庁のホームページでは、多言語での様式が提供されており、必要な情報を事前に確認できます。
質問2.深夜業に従事する特定技能外国人の健康診断で注意すべき点は?
定期健康診断は年に1回実施されますが、深夜業勤務に従事する特定技能外国人に対しては、頻度が半年ごとに1回となります。これは、不規則な勤務時間が健康に与える影響を考慮した措置です。
深夜業勤務の特性上、睡眠障害や心身の疲労が懸念されるため、定期的な健康診断を通じて早期にリスクを特定し、適切な対策を講じることが、従事者の健康を守るためには欠かせません。
質問3.特定技能外国人が病気や事故にあった場合の責任や補償は?
特定技能外国人が在留期間中に病気や事故に遭遇した場合、受入れ機関と登録支援機関がその責任を負います。これらの機関は労災保険に加入しており、日本国内で働く外国人が病気や事故により医療費を負担する必要が生じた際、その保証を受けられます。
受入れ機関は、特定技能外国人が民間の医療保険に加入できるように案内し、サポートしなければなりません。この取り組みは、医療費の高額化を防ぎ、外国人労働者が安心して生活できる環境を整えることが目的です。
質問4.技能実習生が受診すべき健康診断は?
技能実習生が健康に実習に取り組むためには、以下の3種類の健康診断の受診が必要です。
- 雇入れ時健康診断
技能実習生が企業に配属される際に受診する
- 定期健康診断
年に一度、深夜労働に従事する実習生は半年以内に一度の頻度で受診する
- 特殊健康診断
有害業務(有機溶剤業務、特定化学物質の製造及び取扱い、粉塵作業など)に従事する実習生が対象となる
これらの健康診断を通じて、技能実習生が健康的に実習を進められるよう配慮しましょう。
なお、特定技能と技能実習の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【2024年最新版】特定技能と技能実習の違いは10項目|それぞれに向く企業の特徴も徹底解説!
質問5.日本人労働者の健康診断との違いは?
特定技能外国人と日本人労働者の健康診断の違いは主に手続きの面にあります。両者の健康診断内容自体に差はありませんが、特定技能外国人は「健康診断個人票」と「受診者の申告書」を提出する必要があります。
これらの書類は、外国人労働者が理解できる言語で作成し、日本語訳の添付が必要です。さらに、健康診断個人票にはすべての検診項目が含まれていなければならず、漏れがある場合は再受診する必要があります。
まとめ
本記事では、特定技能外国人の健康診断で理解すべきポイントや健康診断における注意点、よくある質問について解説しました。
特定技能外国人の健康診断は、出入国在留管理庁による受け入れに関する運用要領に基づいており、健康状態が良好である証明として不可欠です。
また、特定技能外国人は「健康診断個人票」と「受診者の申告書」を提出する必要があり、これらの書類は、外国人労働者が理解できる母国語で作成し、日本語訳の添付も求められています。
このように、特定技能外国人を受け入れる際には、適切な健康診断の受診と書類の作成、提出が必要です。もし、不明な点がある場合は、これらをサポートしてくれる登録支援機関の活用を検討してみてください。
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