育成就労の職種は何が変わる?成功させる3つのポイント

2027年から施行される育成就労制度の職種とは、原則として特定技能制度の対象となる「特定産業分野」と一致する分野です。これまでの技能実習制度では、職種と作業が細かく分かれていました。

しかし、新制度では特定技能へのスムーズな移行を目的としているため、幅広い業務に従事できるようになります。しかし、制度の仕組みは複雑であり「自社の業務が対象になるのかわからない」「どのような準備が必要なのか」と悩む担当者も少なくありません。

育成就労で採用を成功させるためのポイントは、以下のとおりです。

  • ポイント①制度の目的と対象職種を正確に把握する
  • ポイント②特定技能へのキャリアパスを見据えた育成計画を行う
  • ポイント③専門機関と連携して生活支援体制を構築する

この記事では、育成就労と特定技能の違いや、成功させるためのポイント、円滑に進めるステップを解説します。また、よくある質問も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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育成就労と特定技能の違いとは?対象職種一覧と移行の仕組み

育成就労制度を正しく理解するためには、特定技能制度との関係性の理解が不可欠です。ここでは、両者の違いと具体的な職種について解説します。

対象となる16の特定産業分野一覧

対象となる16の特定産業分野一覧

引用:特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)|法務省

育成就労の対象分野は、基本的に特定技能制度の「特定産業分野」と一致します。2024年に追加された4分野を含め、以下の16分野が対象となる見込みです。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 自動車運送業(新規)
  • 鉄道(新規)
  • 林業(新規)
  • 木材産業(新規)

これにより、特定技能への移行がスムーズになり、キャリアの一貫性が保たれます。

育成就労と特定技能の違い

育成就労制度を深く理解するためには、特定技能制度との違いを明確にしておかなければなりません。両者はそれぞれ役割が異なり、採用ターゲットや運用ルールも大きく変わります。ここでは、2つの制度の主な相違点を一覧にまとめました。

◆育成就労と特定技能の比較表

項目育成就労制度特定技能制度(1号)
目的人材育成・人材確保人材確保(即戦力)
在留期間通算3年通算5年
技能水準未経験可(育成が前提)即戦力(試験合格が必要)
日本語能力入国時N5程度、1年後N4程度N4程度以上
転籍(転職)やむを得ない場合+一定条件下で可同一分野内で可
受入れ形態企業単独または団体監理型直接雇用(派遣は一部可)

育成就労と特定技能は、連続したキャリアパスとして設計されています。育成就労は「人材育成」を主眼に置き、未経験から特定技能水準への到達を目指す3年間の制度です。

一方、特定技能は「即戦力」としての就労が目的です。両者の違いを理解して、長期的な視点で人材活用計画を立てなければなりません。

参考:技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議 最終報告書(PDF)

特定技能へのスムーズな移行制度

特定技能へのスムーズな移行制度

育成就労制度の大きな特徴は、特定技能への移行が制度化されている点です。育成就労を3年間順調に修了して、所定の技能評価試験と日本語試験に合格(または免除要件を満たす)すれば、特定技能1号へ在留資格を変更できます。

出入国在留管理庁の資料によると、このルートにより、最長で合計8年(育成就労3年+特定技能5年)の滞在ができます。さらに、特定技能2号へ移行すれば、事実上の永住も視野に入れた長期就労が可能です。

参考:育成就労制度の概要|厚生労働省

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育成就労で採用を成功させるための3つのポイント

育成就労制度は、単なる労働力の確保ではなく、人材を育成し「特定技能」へと繋げる長期的な視点が求められます。ここでは、実際に外国人採用を成功に導くための大切なポイントを紹介します。

ポイント①制度の目的と対象職種を正確に把握する

育成就労制度は、未熟練労働者を育成して「特定技能」へつなげ、長期的な人材の確保が目的です。従来の技能実習制度が国際貢献を主眼としていたのに対して、新制度では日本の労働力不足解消を明確に掲げている点が違いです。

このため、対象となる職種は人手不足が深刻な「特定産業分野」に限定されています。まずは自社の業務がこの分野に該当するかを、最新の資料を用いて正確に確認することが、制度活用の第一歩となります。

なお、育成就労制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:育成就労制度とは?導入に向けたステップと技能実習との違い

ポイント②特定技能へのキャリアパスを見据えた育成計画を行う

ポイント②特定技能へのキャリアパスを見据えた育成計画を行う

育成就労では、3年間の就労を通じて「特定技能1号」の水準まで人材の育成が義務付けられます。日本語能力試験(N4以上)や技能検定の合格が目標となるため、現場でのOJTだけでなく、体系的な学習サポートが必要です。

成功している企業では、入社直後から明確なキャリアパスを提示しています。さらに、資格取得のための勉強会を実施するなど、外国人がモチベーションを維持できる環境を整えています。

ポイント③専門機関と連携して生活支援体制を構築する

外国人材が日本で長く働くためには、職場だけでなく生活面での安心感が不可欠です。住居の確保や行政手続き、体調不良時の対応など、生活支援の業務は多岐に渡るため、自社だけで行うのは大きな負担です。

このため、生活支援や在留資格の手続きに精通した専門機関に相談して、サポートを委託するケースが増えています。豊富な実績とIT技術を活用した効率的な支援を行う企業への相談は、採用担当者の負担を劇的に減らして、受入れの成功率を高める有効な手段です。

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育成就労の職種選定から受入れまでを円滑に進める3つのステップ

新制度での受入れをスムーズに進めるためには、事前の準備が欠かせません。ここでは、具体的な手順を解説します。

ステップ①現状を分析して、対象分野への該当性を確認する

まず、自社で受け入れたい業務内容が、育成就労の「特定産業分野」に含まれているかを確認してください。従来の技能実習で受け入れていた職種であっても、特定技能の分野に対応していない場合は、原則として育成就労の対象外となる可能性があります。

厚生労働省の資料を参照して、最新の分野区分と自社の業務との照らし合わせが大切です。

参考:育成就労制度の概要|厚生労働省

ステップ②監理支援機関の選定と育成計画の策定

育成就労では、企業をサポートする「監理支援機関」の役割が大切になります。信頼できる機関を選定して、共同で3年間の「育成就労計画」を策定します。

計画には、時期ごとの習得技能や、日本語能力試験合格に向けた具体的な教育スケジュールを記載しなければなりません。計画の認定が受入れの前提となるため、制度に精通した機関と連携して、実効性のある育成プランを練り上げる必要があります。

ステップ③受入れ環境の整備と採用活動を開始する

育成就労計画の認定後、現地の送出機関を通じて採用活動を行います。採用決定後は、入国前の日本語教育や住居・生活用品の手配を進めます。

育成就労制度では、一定条件下で「転籍(職場の変更)」が可能になるため、長く定着してもらうための環境作りが欠かせません。給与水準の見直しや生活サポートの充実など、外国人材に「選ばれる企業」になるための体制整備が、これまでより大切になります。

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外国人採用の支援なら「株式会社グローバルヒューマニー・テック」

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外国人採用を成功させるには、複雑な制度への理解だけでなく、来日する外国人材が安心して暮らせる環境を整えることが不可欠です。しかし、住居の手配や公的手続き、緊急時の対応など、生活支援業務は多岐にわたり、社内のリソースだけで対応するのは容易ではありません。

株式会社グローバルヒューマニー・テックは、グローバル人材に対する総合的な生活支援において、確かな実績と信頼を築いています。最大の強みは、長年培った支援ノウハウと最新のIT技術を融合させた、独自の支援プラットフォームです。

これにより、効率的かつきめ細やかなサポートを実現して、企業と外国人材の双方に安心を提供しています。当社は、採用支援から就業後の生活支援までを一貫したサポートすることで、日本企業が抱える人手不足という課題をグローバルソリューションで解決に導きます。

新制度への対応や受入れ体制の構築にお悩みの際は、ぜひ私たちにご相談ください。⇒株式会社グローバルヒューマニー・テックに相談する

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育成就労の職種に関するよくある3つの質問

最後に、育成就労の職種に関するよくある質問をご紹介します。それぞれ詳しくみていきましょう。

質問①今までの技能実習生の職種はどうなりますか?

これまでの技能実習の職種であっても、特定技能制度の「特定産業分野」に該当しない職種は、原則として育成就労の対象外となります。新制度は、特定技能へのスムーズな移行を目的としているからです。

しかし、急激な変化を避けるために一定の経過措置が検討されています。自社の職種が新制度でも継続可能か、必ず最新の対照表を確認してください。

質問②職種が合わない場合、特定技能で採用できますか?

育成就労を経由せず、試験合格者を特定技能として直接採用できます。しかし、特定技能制度もあらゆる業務で可能なわけではなく、あくまで「特定産業分野」の16分野に限られます。

このため、自社の業務がこの分野外であれば、残念ながら特定技能での採用もできません。まずは、自社の業務が16の対象分野に合致しているか、詳細な区分を確認しましょう。

質問③メインの職種以外の業務(関連業務)も任せられますか?

従来の技能実習よりも柔軟な配置が可能です。新制度では、特定技能と同様に業務区分が大括り化されるため、メインの業務に付随する「関連業務」や、同じ職場の日本人が通常行う「周辺業務」にも一定の範囲で従事できます。

旧制度のように厳密な作業区分で縛られることが減り、チーム内での協力や多能工化など、より実態に即した業務配分がしやすくなる点が大きなメリットです。

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制度を正しく理解して「選ばれる企業」を目指そう!

育成就労制度は、日本の労働力不足を解消して、企業の成長を支える大切なカギとなります。制度の仕組みや対象職種を正しく理解して、早めに準備を進めれば、優秀な人材を確保できるチャンスが広がります。育成就労の職種選定から受入れまでを円滑に進めるステップは以下のとおりです。

  • ステップ①現状を分析して、対象分野への該当性を確認する
  • ステップ②監理支援機関を選定して、育成計画を策定する
  • ステップ③受入れ環境を整備して、採用活動を開始する

新制度への対応は複雑に感じるかもしれませんが、適切な専門家のサポートを得ると、スムーズに移行できます。まずは自社の状況を整理して、信頼できるパートナーとともに、外国人材が活躍できる未来を築いていきましょう。また、制度移行期には法改正の最新情報を見逃さないよう注意してください。
なお、株式会社グローバルヒューマニー・テックでは、グローバル人材に対する総合的な生活支援を実施しており、外国人の受け入れにおける豊富な経験と知識を有しています。ご相談・お見積りはもちろん無料です。まずはお気軽にお問合せください。⇒株式会社グローバルヒューマニー・テックに相談する

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